古物商を開業するには?何から始めるかを開業までの流れで解説

「古物商として開業したいけれど、何から始めればいいのだろう」
「まず古物商許可を取ればよいのか、開業届や仕入れの準備も必要なのか分からない」

古物商の開業について調べると、許可、必要書類、開業届、仕入れ、ネット販売など、さまざまな情報が出てきます。

この記事では、それらを一つずつ深掘りするのではなく、古物商として開業するための全体地図を整理します。

読み終えたときに、「自分はいま何を確認する段階なのか」「次にどの記事・公式情報を確認すればよいのか」が分かる状態を目指します。

古物商を開業するには?まず全体像をつかもう

古物商の開業で考えることは、大きく5つに分けられます。

確認すること主な内容
1.事業内容何を扱い、どう仕入れ、どう販売・買取するか
2.古物商許可自分の取引に許可が必要か
3.開業・税務開業届など必要な税務手続き
4.営業準備仕入れ、販売方法、資金、店舗・ネット環境など
5.営業ルール本人確認、記録、表示など許可取得後に守ること

この5つは、必ず上から順番に一つずつ終わらせるという意味ではありません。

許可申請を進めながら販売方法を検討するなど、実際には並行して準備できるものもあります。

大切なのは、「古物商許可を取ること」だけを開業と考えないことです。

まず事業の形を整理し、その内容に応じて必要な許可・手続き・営業準備を確認していきましょう。

最初に「どんな古物商を始めるのか」を整理する

いきなり許可申請の必要書類を集めるより先に、自分がどのような商売を始めるのかを整理します。

事業の形が見えると、その後に確認する許可や手続きも選びやすくなります。

何を扱うのか

まず、どのような商品を仕入れたり、買い取ったりして販売するのかを考えます。

古物営業法でいう「古物」は、一般にイメージする「一度使われた中古品」だけではありません。

一度も使用されていない物でも、使用のために一度取引された物品などは古物に含まれます。

つまり、新品に見えるか中古品に見えるかだけでなく、その商品をどのように取得し、どのような取引をするのかまで整理することが大切です。

「古物」という言葉そのものを詳しく確認したい方は、先に次の記事を読むと理解しやすくなります。

古物営業法上の「古物」と中古品の違いを確認する

法律上の定義そのものは、e-Gov法令検索でも確認できます。

e-Gov法令検索「古物営業法」

どこから仕入れ、どう販売・買取するのか

次に、商品が自分のところへ入り、顧客へ渡るまでの流れを考えます。

整理すること例
仕入れ・買取業者から仕入れる、一般の方から買い取るなど
販売店舗、自社EC、ECモール、フリマアプリなど
買取方法店頭、宅配、消費者宅への訪問など
営業主体個人、法人
事業の位置づけ本業、副業

たとえば、業者から仕入れる、一般の方から買い取る、店舗で売る、ネットで販売する、消費者宅へ出向いて買い取る、といった違いがあります。

ここで重要なのは、「どこで売るか」だけでなく、「どこから、どのように仕入れ・買取するか」まで考えることです。

営業方法によって、古物商許可の要否や、開業後に確認するルールが変わることがあります。

副業でも、許可要否は実際の取引内容から考える

「副業なら古物商許可はいらない」と一律に判断することはできません。

警察庁の現行の解釈運用基準では、営利目的をもって同種類の行為を反復継続して行う場合の「営業」について、本業だけでなく副業・内職等であっても実態によって該当し得ることが示されています。

そのため、本業か副業かという名称だけではなく、実際に何を取得し、何の目的で、どのように売買するのかから考えます。

副業・せどりを想定している方は、許可要否を扱う詳細記事で自分のケースを整理してください。

古物商許可が必要な取引・不要な取引を確認する

行政書士 小野
申請書類を集め始める前に、「何を扱うか」「誰から仕入れるか」「どこで売るか」「買取もするか」を一度書き出してみてください。

事業の流れが見えると、許可の要否や次に確認する手続きも整理しやすくなります。

自分の取引に古物商許可が必要か確認する

事業内容を整理したら、次に確認したいのが古物商許可の要否です。

古物の売買・交換等を営業として行う場合には、自分が予定している取引が古物商許可の対象となる営業に当たるかを確認します。

一方、中古品に関係する取引がすべて古物商許可の対象になるわけではありません。

古物営業法では、古物を売却することだけを行う営業など、許可対象となる営業から除かれているものもあります。

最初の判断は、

「古物を扱うから許可が必要か」ではなく、
「自分が予定している取引は古物商許可の対象になるのか」

です。

個別ケースをこのページで網羅すると開業全体が見えにくくなるため、許可の必要・不要はこちらで詳しく確認してください。

古物商許可が必要・不要となる取引の境界を確認する

自分だけでは判断しにくい場合は、主たる営業所を管轄する警察署へ確認する方法もあります。都道府県警察の公式サイトは警察庁の一覧から探せます。

警察庁「都道府県警察本部リンク」

古物商許可が必要なら、書類より先に申請条件を確認する

古物商許可が必要だと分かったら、次は申請準備です。

ここでも、すぐに住民票などを集め始めるのではなく、まず自分の申請条件を整理します。

代表的な確認事項は、主たる営業所、管理者、申請者や法人役員等に関する条件などです。

古物商は営業所ごとに管理者1人を選任する必要があります。申請書類を集める前に「どこを営業所とするか」「誰を管理者にするか」まで整理しておくと、その後の準備へ進みやすくなります。

詳しい許可条件はこちらで確認できます。

古物商許可の要件・営業所・管理者を確認する

条件を整理した後は、

申請条件を整理する
→ 必要書類を確認する
→ 申請先・申請方法を確認する
→ 許可申請を行う

という流れで進めます。

申請全体の流れを知りたい方はこちらです。

古物商許可の取り方・申請の流れを確認する

実際に書類を準備する段階では、個人か法人か、管理者を誰にするかなどによって確認する書類が変わります。

古物商許可の必要書類を個人・法人別に確認する

なお、許可が必要な営業であれば、許可を受ける前に古物商として営業を開始しないよう、開業予定日から逆算して準備することが重要です。

古物商許可と開業届・税務手続きは別に考える

古物商許可を取得したからといって、事業開始に関する手続きがすべて終わるわけではありません。

古物商許可は、古物商として営業するための公安委員会の許可です。

一方、個人で事業を始める場合には、税務上の手続きも別に確認します。

個人で開業する場合は開業届などを確認する

代表的な税務手続きの一つが「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届です。

国税庁の現行案内では、開業届の提出期限は開業した年分の所得税の確定申告期限までとされています。

また、青色申告を利用する場合の「所得税の青色申告承認申請書」は、開業届とは別の期限があります。

古い解説では以前の期限が残っている場合があるため、実際に手続きをするときは最新の国税庁情報を確認しましょう。

国税庁「開業する場合」で届出と期限を確認する

個人事業主として古物商を始める場合の許可と開業届の関係は、こちらで詳しく整理しています。

個人事業主の古物商許可と開業届の関係を確認する

つまり、

古物商許可=古物商として営業するための手続き

開業届等=事業開始に伴う税務上の手続き

です。

この2つを分けて考えると、開業準備を整理しやすくなります。

ネット販売・訪問買取など、営業方法によって追加確認が必要になる

古物商許可を取得すれば、どの営業方法でも同じルールで営業できるわけではありません。

販売方法、買取方法、扱う商品によっては、追加で確認する制度があります。

ネットで古物を販売する場合

インターネットを利用して古物を取引する場合は、古物営業法上のウェブ表示等を確認します。

インターネット取引を行う古物商については、氏名または名称、許可をした公安委員会名、許可証番号のウェブ掲載が必要となるルールがあります。2024年の改正後も、インターネット取引を行う特定古物商については小規模事業者等の除外にかかわらず掲載義務があります。

サイト内では、現在の表示ルールを次の記事で詳しく確認できます。

古物商のホームページ表示義務を確認する

また、消費者向けのネット販売が特定商取引法上の通信販売に当たる場合は、通信販売としての表示や販売条件も別に確認します。

消費者庁「通信販売」の公式ルールを確認する

つまり、古物商としてのルールと、通信販売事業者としてのルールは別の確認事項です。

消費者の自宅などで買い取る場合

消費者の自宅などへ出向いて物品を買い取る場合には、一定の場合、特定商取引法上の「訪問購入」が関係します。

訪問購入には、勧誘前の事業者名等の明示、不招請勧誘の禁止、書面交付などの規制があり、適用除外もあります。

出張買取を予定している場合は、古物商許可だけではなく、自分の取引に訪問購入のルールが関係するかも確認してください。

消費者庁「訪問購入」の公式ルールを確認する

宝石・貴金属等を扱う場合

古物である貴金属等の売買を業として行う古物商は、犯罪収益移転防止法上の特定事業者として、本人特定事項の確認や疑わしい取引の届出等が関係します。

警察庁「古物営業・質屋営業について」を確認する

ここで大切なのは、関連法令をすべて暗記することではありません。

何を扱い、どう仕入れ、どう販売・買取するかによって、追加で確認するルールが変わる

と理解しておくことです。

許可や手続きと並行して、実際に営業できる準備を進める

許可や届出だけ整っても、商品を仕入れて販売できる状態でなければ事業は始まりません。

制度上の手続きを確認しながら、実際の営業準備も進めます。

仕入れ先と販売先を具体化する

「中古品を販売する」と決めただけでは、まだ事業の形は十分に見えていません。

どこから仕入れるのか、一般の方から買取をするのか、店舗なのかネットなのか、どのように商品を管理・発送するのかまで具体化していくと、必要な設備、資金、確認すべきルールが見えやすくなります。

許可取得そのものを開業のゴールにせず、許可取得後にどう営業するかから逆算することがポイントです。

開業資金は一律の金額ではなく、自分の事業から考える

古物商の開業に必要なお金は、許可申請に関係する公的費用だけではありません。

商品仕入れ、営業場所、販売環境、梱包・発送、広告・集客など、事業内容によって必要な費用は変わります。

そのため、「古物商の開業には一律いくら必要か」を探すより、自分の事業に必要な費用を項目ごとに整理する方が現実的です。

開業予定日から逆算する

開業時期を決めている場合は、「その日までに何が決まっている必要があるか」から逆算します。

許可が必要な営業は許可前に始めない一方、事業内容、仕入れ・販売方法、必要資金、営業環境などは並行して検討できます。

許可申請だけを開業スケジュールとして見るのではなく、実際に営業できる状態までを一つの開業準備として考えることが大切です。

古物商許可は「取ったら終わり」ではない

古物商許可を取得した後は、取引内容に応じて、

  • 相手方の確認
  • 取引内容の記録
  • 不正品の疑いがある場合の対応
  • 標識やウェブ上の表示

など、営業上のルールを確認します。

本人確認や取引記録には条件・例外があるため、「すべての取引で同じ対応をすればよい」と考えず、自分の取引方法に合わせて整理してください。

本人確認について詳しく確認する場合はこちらです。

古物商の本人確認方法を確認する

ネット・宅配買取など、非対面で買い取る場合はこちらでさらに詳しく確認できます。

古物商の非対面本人確認方法を確認する

取引記録については、古物台帳に「何を書くか」だけでなく、まず自分の取引が記録対象なのかを確認する必要があります。

古物台帳の記録対象・書き方・保存方法を確認する

開業前から、許可をどう取るかだけでなく、許可取得後に予定している方法でどう営業するかまで考えておくと、その後の準備を整理しやすくなります。

今の自分に必要な情報から次へ進もう

古物商の開業について、すべての情報を一度に詳しく読む必要はありません。

今の自分がどこで止まっているかを基準に、次に確認するテーマを選んでください。

今の状態次に確認するページ
そもそも「古物」の意味が分からない古物営業法上の「古物」を確認する
古物商許可が必要か分からない許可が必要・不要となる取引を確認する
個人で開業したい個人事業主・開業届との関係を確認する
許可が必要だと分かった営業所・管理者など許可要件を確認する
許可申請へ進みたい古物商許可の申請の流れを確認する
書類を準備したい古物商許可の必要書類を確認する
ネットで販売する古物商のホームページ表示義務を確認する
許可取得後の本人確認を知りたい古物商の本人確認方法を確認する
古物台帳を準備したい古物台帳のルールを確認する

このページで開業全体の地図をつかみ、必要になったテーマだけを専門記事で詳しく確認する。

これが、このピラーページの役割です。

古物商の開業でよくある疑問

副業なら古物商許可は不要ですか?

副業か本業かだけでは判断できません。

副業であっても、取引の実態によって古物営業法上の「営業」に当たる場合があります。

「副業」という名称ではなく、何をどのように取得し、どのように売買するのかから確認してください。

ネット販売だけなら古物商許可は不要ですか?

ネット販売か店舗販売かだけで許可要否は決まりません。

まず商品の取得・売買内容から、古物商許可の対象となる営業に当たるかを確認します。

許可を取得してネットで古物を取引する場合には、ウェブ上の表示等も別に確認します。

古物商許可を取得した後にも確認することはありますか?

あります。

取引内容に応じて、本人確認、取引記録、標識・ウェブ表示など、営業開始後に守るルールがあります。

許可申請だけでなく、許可取得後に予定している方法で営業できるかまで開業前に確認しておくことが重要です。

古物商の開業は「許可申請」だけでなく事業全体から考える

古物商として開業するときは、最初から申請書類を集め始めるのではなく、まず次の4点を整理してみてください。

  1. 何を扱うのか
  2. どこから仕入れるのか
  3. どのように販売・買取するのか
  4. どこを営業拠点にするのか

ここまで整理できれば、自分に古物商許可が必要か、どの手続きを確認すべきか、営業開始までに何を準備すべきかが見えやすくなります。

次の一歩は、自分が予定している取引に古物商許可が必要か確認することです。

古物商許可が必要・不要となる取引を確認する

自分の取引へ当てはめて判断しにくい場合は、主たる営業所を管轄する警察署へ確認できます。

自分の地域の都道府県警察を確認する

古物商の開業・許可申請をまとめて進めたい方へ

この記事で、古物商の開業について「何を考え、何を確認するか」という全体像は整理できます。

そのうえで、

自分で進めたい方は、まず許可要否を確認し、必要であれば申請の流れ・必要書類へ進んでください。

自分で古物商許可を取る流れを確認する

一方、

許可要否の整理、申請条件、書類準備、古物商としての開業準備をまとめて進めたい方には、専門家のサポートを利用する方法もあります。

サクセスファン行政書士事務所では、古物商許可の申請サポートに加えて、古物商としての開業に向けたサポートも行っています。

現在案内されている古物商許可サポートの内容・費用や、自分で申請する場合との違いはこちらから確認できます。

サクセスファンの古物商許可サポート内容・費用を確認する

すべてを一度に調べる必要はありません。今の自分に必要な確認から一つずつ進めることが、古物商開業への最初の一歩です。