法人で古物商許可を取得した後、取締役などの役員が変わった場合には、法人登記とは別に、古物商側でも変更手続きを確認する必要があります。
ただし、「役員変更」といっても手続きは一律ではありません。
新しい役員が就任したのか、退任だけなのか、既存役員の氏名・住所が変わったのか、あるいは法人の代表者そのものが交替したのかによって、必要な書類や許可証の書換えの有無が変わります。警視庁の公式案内でも、法人役員の追加・削除・交替、氏名・住所変更と、代表者の交替は分けて案内されています。
そのため、最初から書類を集めるのではなく、
「誰について、何が変わったのか」
を整理するところから始めるのがポイントです。
この記事のポイント
- 法人役員の追加・削除・交替、氏名・住所変更は、古物商の変更届出の対象
- 事後の変更届出は原則14日以内。ただし、登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内
- 新任役員がいる場合は、その人について略歴書・住民票の写し・誓約書・身分証明書などを確認する
- 法人の代表者が交替した場合は、通常の役員変更と異なり許可証の書換えが必要
- 迷ったときは「役員変更」という言葉ではなく、実際に起きた変更内容から必要な手続きを確認する
古物商許可の法人で役員変更があったら、まず変更内容を分ける
法人役員に関する事項が変わった場合は、古物営業上の変更届出の対象になります。
ただし、最初に確認したいのは「役員変更があったか」ではなく、具体的に何が変わったかです。
| 変更内容 | 主に確認する手続き | 許可証の書換え |
|---|---|---|
| 新しい役員が就任した | 変更届出 | 原則不要 |
| 役員が退任した | 変更届出 | 原則不要 |
| 役員が交替した | 変更届出 | 原則不要 |
| 既存役員の氏名・住所が変わった | 変更届出 | 原則不要 |
| 法人の代表者が交替した | 変更届出・書換申請 | 必要 |
代表者以外の役員の追加・削除・交替は、許可証の書換えを伴わない変更届出として案内されています。一方、法人代表者の交替は許可証の書換えを伴います。
この違いを先に整理しておけば、後から必要書類や期限を確認しやすくなります。
特に注意したいのが、法人の役員変更登記を済ませても、古物商の変更届出まで自動的に完了するわけではないことです。
法務局で行う法人登記と、古物営業上の変更手続きは分けて確認しましょう。
小野馨の一言
「役員が変わったので、必要書類を調べよう」と始めるより、まず「新しく就任した人がいるのか」「退任だけなのか」「代表者まで変わるのか」を整理した方が、確認すべき書類や手続きが見えやすくなります。
古物商の役員変更の届出期限は原則14日|登記事項証明書を添付する場合は20日
事後の変更届出は、原則として変更の日から14日以内です。
ただし、届出書に登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内です。これは古物営業法施行規則第5条の現行ルールで、警察の公式手続案内でも同じ条件で案内されています。
ここは、法人の役員変更で特に誤解しやすいところです。
「法人の役員変更だから全部20日以内」と覚えるのではなく、
- 何が変更されたか
- 変更日はいつか
- その変更で登記事項証明書の添付が必要か
を確認して、14日・20日のどちらに当たるか判断します。
法人役員の追加・削除・交替については、登記事項証明書が添付書類として案内されています。
一方、既存役員の氏名や住所の変更では、警視庁の案内上、本籍等が記載された住民票の写しが添付書類として示されています。
期限だけを先に覚えるより、自社の変更では何を添付するのかを先に整理した方が判断しやすくなります。
制度上の期限を原文で確認したい場合は、e-Gov「古物営業法施行規則」 も確認できます。
役員変更の必要書類は「新任者がいるか」で大きく変わる
役員変更で準備する書類は、すべてのケースで同じではありません。
特に分かりやすい判断軸が、新しく役員になる人がいるかどうかです。
新しい役員が就任する場合
新しい人が法人の役員になる場合は、法人の登記事項証明書に加えて、新任役員本人に関する書類を確認します。
主な書類は次のとおりです。
- 略歴書
- 本籍が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
外国人の場合は、住民票について国籍等が記載されたものを確認します。
ここでいう**「身分証明書」は運転免許証などの本人確認書類ではありません。** 警視庁の案内では、本籍地のある市区町村から交付を受ける身分証明書とされています。
新任役員が複数いる場合は、それぞれについて必要な個人書類を確認します。
法人申請時を含め、古物商で使用する書類全体の整理や取得先も確認したい方は、「古物商許可の必要書類一覧|個人・法人別に申請書・取得先・準備順まで解説」 も参考になります。
役員が退任するだけの場合
役員が退任し、新しく就任する人がいない場合は、新任役員用の個人書類を一律にそろえる必要はありません。
一方、法人役員の削除・交替については、**登記事項証明書(履歴事項全部証明書等)**が添付書類として案内されています。
そのため、「役員変更に必要な書類を全部集める」のではなく、新任者がいるのか、退任だけなのかを先に整理した方が手戻りを減らせます。
役員が交替する場合
ある役員が退任し、別の人が新しく就任する場合は、退任と新任が同時に発生します。
この場合は、法人の登記事項証明書に加え、新しく役員になる人について必要な個人書類を確認します。
「役員が一人入れ替わった」とまとめて考えるのではなく、
- 退任する人
- 新しく就任する人
に分けて整理すると分かりやすくなります。
既存役員の氏名・住所だけが変わった場合
役員本人は変わらず、氏名や住所のみが変更された場合も変更届出の対象です。
警視庁の案内では、役員の氏名変更・住所変更について、本籍等が記載された住民票の写しが添付書類として案内されています。
新任や退任とは必要書類の考え方が異なるため、「役員に関する変更だから同じ」と一括りにしないようにしましょう。
法人の代表者が変わった場合は通常の役員変更と別に確認する
法人の代表者が交替した場合は、代表者以外の役員変更とは手続きが異なります。
代表者の交替では、許可証の書換えが必要です。
書換申請手数料は1,500円です。通常の変更届出については手数料はかかりません。
代表者が交替する場合には、法人の登記事項証明書も確認します。
さらに、新しく代表者になる人がそれまで法人の役員ではなかった場合は、その人について、
- 略歴書
- 本籍等が記載された住民票の写し
- 誓約書
- 身分証明書
などの添付書類も確認します。
また、前の代表者が代表者ではなくなった後も役員として会社に残る場合などは、代表者の交替だけでなく、役員構成がどう変わったかまで整理する必要があります。
代表者変更では、
「新代表者は誰か」だけでなく、「新旧代表者が役員としてどう変わるのか」
まで確認しておくと、必要な手続きを判断しやすくなります。
法人の役員変更手続きは5つの順番で確認する
実際に手続きを進めるときは、次の順番で整理すると迷いにくくなります。
1.誰について何が変わったか整理する
まず確認するのは書類ではありません。
- 新しく就任した役員はいるか
- 退任した役員はいるか
- 代表者は変わったか
- 氏名・住所だけの変更か
を整理します。
複数人について変更がある場合は、それぞれの変更前・変更後を書き出しておくと確認しやすくなります。
2.変更日を確認する
次に、実際の変更日を確認します。
変更届出には期限があるため、必要書類を集める前に起算点となる日を把握しておきます。
3.14日・20日のどちらの期限か確認する
変更内容から、登記事項証明書を添付すべき手続きかを確認します。
- 原則:変更の日から14日以内
- 登記事項証明書を添付すべき場合:20日以内
という条件を当てはめます。
4.変更内容に合った必要書類を準備する
新任者がいる場合は、新任役員本人の書類も確認します。
退任のみ、氏名・住所変更、代表者交替など、変更内容に応じて必要書類を分けます。
5.最新の様式と提出先を確認する
事後の変更届出では、原則として**古物営業法施行規則別記様式第6号(書換申請・変更届出書)**の必要部分を使用します。法人代表者・役員変更用の継続用紙や、役員の就任・退任・交替・住所変更等の記載例も警察の公式ページで公開されています。
実際に書類を作成するときは、警視庁「申請届出様式等一覧(古物商・古物市場主用)」 で様式や記載例を確認できます。
ただし、実際の提出では主たる営業所を管轄する都道府県警察の最新案内を優先して確認してください。
通常の変更届出は、営業所または古物市場を管轄する警察署で行います。
代表者変更など許可証の書換えを伴う場合は、主たる営業所または古物市場を管轄する警察署で手続きを行います。
提出先・手数料・必要書類をまとめて確認したい場合は、警視庁「書換申請・変更届出」 も参考になります。
期限を過ぎた場合や複数の変更がある場合は、現在の状況を整理して確認する
「役員変更があったことに後から気づいた」「複数回の役員変更をまだ届け出ていない」という場合もあります。
このとき、
- 期限を過ぎたからもう提出できない
- 今さら届出をしても意味がない
などと自己判断して放置するのは避けてください。
今回確認できた公的資料からは、期限を過ぎた場合について全国一律の具体的な事後処理までは確認できません。
そのため、まず次の事項を整理します。
- 誰について何が変わったか
- それぞれの変更日はいつか
- どこまで届出済みか
- その後さらに別の変更が発生していないか
- 現在の法人登記はどうなっているか
そのうえで、管轄警察署へ現在の状況を伝えて確認してください。
古物営業法上、許可後の変更について必要な届出をしない場合には、罰則規定があります。愛知県警の現行案内では、変更届出義務違反について10万円以下の罰金と案内しています。
ただし、罰則だけを見て不安を大きくする必要はありません。
重要なのは、現在の状態を整理し、必要な対応を確認して前へ進むことです。
法人の役員変更で迷ったら「役員変更」ではなく「変更内容」から考える
法人の古物商許可で役員変更があったときは、「役員変更に必要な書類」をいきなり探すより、次の順番で考える方が整理しやすくなります。
誰について何が変わったか
↓
代表者の交替を含むか
↓
登記事項証明書の添付が必要か
↓
14日・20日のどちらの期限か
↓
新任者などについて何を準備するか
↓
どこへ提出するか
この順番で確認すれば、自社に関係のない書類を集めたり、代表者変更を通常の役員変更と同じ扱いにしたりする手戻りを減らせます。
自社で変更内容を整理できる場合は、管轄警察の最新案内を確認しながら手続きを進めてください。
一方で、
- 役員の就退任と代表者変更が同時に起きている
- 複数回の変更が未届になっている
- 自社のケースで必要な書類を切り分けにくい
- 期限を過ぎている
- 手続きに使う時間や作業を減らしたい
といった場合は、管轄警察署や古物営業の手続きに対応する行政書士へ確認する選択肢もあります。
相談するときは、変更した人・変更内容・変更日・現在の登記状況を整理しておくと、確認を進めやすくなります。
よくある質問
法人の役員変更登記をすれば、古物商の変更届は不要ですか?
いいえ。
法人登記とは別に、古物営業上も役員に関する変更届出を確認する必要があります。
法務局で役員変更登記を済ませたことだけで、古物商の変更手続きまで自動的に完了するわけではありません。
古物商の法人役員変更は何日以内に届け出ますか?
事後の変更届出は、原則として変更の日から14日以内です。
ただし、届出書に登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内です。
「役員変更はすべて20日」と考えるのではなく、自社の変更で登記事項証明書の添付が必要かを確認してください。
新しい役員が就任した場合、どのような書類が必要ですか?
新任役員について、主に略歴書、本籍等が記載された住民票の写し、誓約書、身分証明書を確認します。
また、役員の追加・交替では、法人の登記事項証明書も必要です。
「身分証明書」は運転免許証のコピーですか?
いいえ。
ここでいう身分証明書は、運転免許証等ではなく、本籍地のある市区町村から交付を受ける身分証明書です。
必要書類を集める際に取り違えないよう注意してください。
代表取締役が変わった場合も、通常の役員変更と同じですか?
同じではありません。
法人の代表者が交替した場合は、変更届出に加えて許可証の書換えが必要です。
書換申請手数料は1,500円です。
役員変更の届出期限を過ぎた場合はどうすればよいですか?
期限超過後の全国一律の具体的な処理方法までは、この記事では断定しません。
変更した人、変更内容、変更日、現在までの届出状況などを整理し、管轄警察署へ確認してください。
期限を過ぎたことを理由に、そのまま放置しないことが重要です。
自分で進めるか、専門家へ相談するか迷っている方へ
この記事で、自社の変更内容と確認すべき手続きの方向性までは整理できます。
そのうえで実際には、
- 自社の変更に必要な書類を切り分ける
- 複数の役員変更を整理する
- 代表者変更を含む手続きを整理する
- 変更届出・書換申請書を作成する
- 管轄警察署へ確認する
といった作業が残ることがあります。
自分で進められる場合は、管轄警察の最新情報と公式様式を確認しながら準備を進めてください。
専門家への依頼を検討する場合は、依頼先が今回の役員変更・代表者変更を実際にどこまで対応しているかを確認したうえで相談すると安心です。
サクセスファン行政書士事務所では古物商許可に関する書類作成・申請サポートの案内ページを公開しています。役員変更手続きについての現在の対応可否・範囲・料金を確認したい場合は、古物商許可サポートの案内ページ から確認・問い合わせができます。

