古物商の営業所を移転するときの手続き|変更届はいつ・どこへ出す?

古物商の営業所を移転するときの手続き|変更届は3日前まで

古物商許可を取得している店舗や事務所を移転するとき、

「引っ越した後に住所変更を届ければよい?」
「県外へ移転すると許可を取り直す?」
「旧営業所と新営業所、どちらの警察署へ届ける?」

と迷う方もいるでしょう。

古物商の営業所の名称・所在地を変更するときは、原則として変更日の3日前までに事前の変更届出が必要です。使用するのは、古物営業法施行規則の別記様式第5号です。警視庁も、営業所の移転をこの事前届出の対象として案内しています。

ただし、営業所を移すときには、

  • 営業所所在地だけが変わる
  • 自宅兼営業所で本人住所も変わる
  • 法人本店兼営業所で法人所在地も変わる
  • 管理者も変わる
  • 主たる営業所を別の都道府県へ移す

など、複数のケースがあります。

そのため、書類を探し始める前に、**「今回の移転で古物商許可上の何が変わるのか」**を切り分けることが重要です。

古物商の営業所移転は変更日の3日前までに変更届が必要

営業所所在地だけを変更する場合の基本を整理すると、次のとおりです。

確認項目基本的な取扱い
手続き事前の変更届出
期限変更日の3日前まで
使用する様式変更届出書(別記様式第5号)
提出部数1通
変更届の手数料なし
法定の添付書類原則不要

警視庁の現行案内でも、営業所所在地の変更について、所轄警察署長を経由し、変更日の3日前までに別記様式第5号を提出するとされています。変更届出の手数料はかかりません。

法令そのものを確認したい場合は、e-Gov法令検索で古物営業法・古物営業法施行規則を確認できます。

e-Gov「古物営業法」
e-Gov「古物営業法施行規則」

「3日前まで」はどう数える?

「3日前」という言葉は、数え方を間違えやすいので注意してください。

たとえば、4月5日に営業所を移転する場合、4月1日までに届出が必要です。

4月2日・3日・4日の3日間を間に置く計算になります。福岡県警も、この例を公式案内で示しています。

つまり、

4月5日移転だから、3日前の4月2日に出せばよい

という数え方ではありません。

窓口で提出する場合は、警察署の開庁日・受付時間も関係します。期限ぎりぎりではなく、移転日が決まった段階で早めに確認しておくと安心です。

福岡県警「古物商等の許可申請について」

営業所を移転すると古物商許可を取り直す必要がある?

同じ個人・法人が古物商として営業を続けながら営業所を移転する場合、営業所を移すという理由だけで新規許可を取り直す手続きではありません。

古物営業法には、営業所所在地を変更するための変更届出制度があります。主たる営業所を別の公安委員会の管轄区域へ移転する場合についても、変更後の主たる営業所を管轄する公安委員会への変更届出が定められています。

ここで重要なのは、

営業所が変わるのか

と、

許可を受けている個人・法人そのものが変わるのか

を区別することです。

この記事で扱っているのは、同じ許可主体が古物営業を続けながら営業所を移すケースです。

自分はどのケース?古物商の営業所移転を早見表で確認

一度の引っ越しでも、古物営業法上は複数の変更手続きに分かれる場合があります。

ケース移転前移転後に確認すること
営業所だけを移転営業所所在地の事前届出他の変更がなければ営業所移転だけで整理
自宅兼営業所を移転し、本人住所も変わる営業所所在地の事前届出本人住所の変更届出・許可証書換え
法人本店兼営業所を移転し、法人所在地も変わる営業所所在地の事前届出法人所在地の変更届出・許可証書換え
移転と同時に管理者も変わる営業所所在地の事前届出管理者変更の届出
主たる営業所を別の公安委員会管轄へ移す営業所所在地の事前届出届出先となる公安委員会にも注意

営業所所在地以外の変更については、原則として変更日から14日以内の事後届出となります。登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内です。

つまり、

3日前・14日以内・20日以内のどれが正しいのか

ではなく、

今回何を変更するのかによって期限が違う

と考えるのがポイントです。

小野馨の一言

営業所の移転では、最初から必要書類を探すよりも、「営業所」「許可者本人の住所」「法人所在地」「管理者」のどれが変わるのかを先に分けて整理すると、必要な手続きが見えやすくなります。

古物商の営業所移転の変更届はどこへ出す?

提出先は、

届出先となる公安委員会

と、

実際に書類を提出する警察署

を分けて考えると理解しやすくなります。

届出先となる公安委員会

原則として、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会です。

ただし、主たる営業所を別の公安委員会の管轄区域へ移転する場合は、変更後の主たる営業所所在地を管轄する公安委員会が届出先となります。

実際に提出する警察署

届出書は営業所所在地の所轄警察署長を経由して提出します。

2以上の営業所を持つ場合は、法令上、そのうちいずれか一つの営業所所在地の所轄警察署長を経由できる仕組みです。

ただし、移転前の事前届出では、

新営業所の最寄り警察署へ必ず提出すればよい

とは限りません。

奈良県警は、届出先について「現に設けている営業所の所在地を管轄する警察署に限られる」と案内しています。福岡県警でも、変更前に現に営業所を管轄している警察署への提出を案内しています。

そのため、とくに県外移転では、

  1. 届出先となる公安委員会
  2. 実際に経由・提出する警察署

を分けて確認してください。

全国記事だけで個別の警察署まで一律には決められないため、実際の提出前には、現在の営業所を管轄する警察署または対象都道府県警の最新案内を確認するのが確実です。

営業所移転の変更届に必要な書類・手数料

営業所所在地を変更するときは、**古物営業法施行規則別記様式第5号「変更届出書」**を使用します。

警察庁では、古物営業法に関する公式様式として別記様式第5号を公開しています。

警察庁「古物営業法の申請書等様式」

また、警視庁では別記様式第5号に加えて、営業所を移転する場合の記載例も公開されています。

警視庁「古物商・古物市場主の申請届出様式・記載例」

営業所所在地だけの事前届出については、警視庁では、

  • 別記様式第5号
  • 添付書類なし
  • 変更届の手数料なし

と案内されています。

ただし、法定の添付書類がないことと、営業場所について何も確認されないことは同じではありません。

都道府県警によっては、営業所を確保していることを確認するため、賃貸借契約書の写しなどを求める場合があります。

そのため、提出前には少なくとも、

  • 現在の営業所所在地
  • 新しい営業所所在地
  • 移転予定日
  • 主たる営業所かその他の営業所か
  • 営業所所在地以外に変更する事項
  • 実際に提出する警察署
  • 管轄警察署から別途求められる資料の有無

を確認しておくとよいでしょう。

営業所所在地だけの移転なら許可証の書換えは通常不要

警視庁では、営業所所在地の変更を別記様式第5号による事前届出として案内しています。

一方、許可証の記載事項が変更になる場合には、事後の変更届出と併せて許可証書換えが必要です。

たとえば、自宅兼営業所の引っ越しによって個人許可者本人の住所も変わる場合や、法人本店兼営業所を移して法人所在地も変わる場合などです。

したがって、

営業所だけが移るのか

それとも、

許可証に関係する情報まで変わるのか

を分けて考えてください。

自宅兼営業所・法人本店兼営業所を移転する場合

自宅や法人本店と営業所が同じ場所の場合は、営業所移転だけで考えると届出を見落としやすくなります。

自宅兼営業所の場合

営業所所在地に加えて、個人許可者本人の住所も変わるのであれば、

  • 営業所所在地の事前届出
  • 本人住所の事後届出
  • 許可証書換え

をそれぞれ確認します。

警視庁では、個人の住所変更について、本籍等を記載した住民票の写しと古物商許可証を必要書類として案内しています。

法人本店兼営業所の場合

営業所移転と同時に法人所在地も変わる場合は、営業所所在地の事前届出とは別に法人所在地の事後変更を確認します。

警視庁では、法人所在地変更について登記事項証明書と古物商許可証を案内しているため、このような変更は20日以内の期限が関係します。

管理者も変わる場合は別の変更届が必要

営業所の移転と同時に管理者が交代する場合も、

営業所所在地の変更

と、

管理者の変更

は別の変更事項です。

警視庁は、営業所管理者の交替について、新しい管理者の略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書などを案内しています。

ただし、現在管理者となっている人が別の営業所へ異動し、そこで引き続き管理者になる場合には、添付書類を省略できる扱いがあります。

この記事では管理者変更の細かな手続きまでは深掘りしません。

営業所移転時に、

「管理者まで変わるか」

を確認し、変わるのであれば別の変更届を確認する、と整理してください。

古物商の営業所移転はオンラインで届け出できる?

提出方法は地域・時点によって確認が必要です。

たとえば警視庁では現在、「古物商等の許可事項の変更届出(事前届出)」が行政手続オンラインの対象として掲載されています。

警視庁「行政手続オンライン・対象手続一覧」

ただし、全国すべての地域・ケースで同じ提出方法が利用できると一律にはいえません。

窓口・郵送・オンラインのどの方法が利用できるかは、実際に手続きをする都道府県警・警察署の最新案内を確認してください。

古物商の営業所移転はこの順番で進める

移転が決まったら、次の順序で確認すると整理しやすくなります。

  1. 移転予定日を決める
  2. 移転するのが主たる営業所か確認する
  3. 現在と移転後の所在地・管轄を確認する
  4. 本人住所・法人所在地・管理者など、同時に変わる事項を洗い出す
  5. 変更日の3日前までという期限を正しく計算する
  6. 別記様式第5号による事前届出を行う
  7. 営業所を移転する
  8. ほかの変更事項があれば、14日・20日の期限に応じて事後届出や許可証書換えを行う

ポイントは、最初から必要書類を検索し始めないことです。

先に「何が変わるか」を整理すれば、

  • 3日前までの事前届出なのか
  • 14日以内の事後届出なのか
  • 20日以内になる変更なのか
  • 許可証書換えまで必要なのか

を切り分けやすくなります。

古物商の営業所移転で特に間違えやすい3つのポイント

「3日前」を1日ずらして数えない

4月5日に移転するなら、届出は4月1日までです。

期限ぎりぎりになる場合は自己判断せず、管轄警察署へ確認してください。

新営業所の警察署へ出せばよいと決めつけない

営業所移転は事前届出です。

まだ新所在地を管轄していない警察署には提出できない場合があるため、現営業所の管轄警察署を含め、実際の提出窓口を確認してください。

「引っ越しは1回だから届出も1つ」と考えない

自宅兼営業所なら本人住所、法人本店兼営業所なら法人所在地、さらに管理者まで変わることがあります。

一度の引っ越しでも、古物営業法上は複数の変更事項に分かれる場合があります。

自分で手続きするか、行政書士へ相談するか

営業所所在地だけを移転し、

  • 主たる営業所かどうか分かる
  • 実際の提出先を確認できる
  • 別記様式第5号を自分で準備できる
  • ほかに変更する事項がない

のであれば、公式案内を確認しながら自分で進めることもできます。

一方、

  • 主たる営業所を別の都道府県へ移す
  • 複数の営業所がある
  • 自宅兼営業所で本人住所も変わる
  • 法人本店兼営業所で法人所在地も変わる
  • 管理者も同時に変更する
  • 3日前・14日・20日のどれが自分に関係するか整理できない

という場合は、手続きの切り分けそのものが複雑になります。

まずは管轄警察署へ確認する方法があります。

書類作成や複数の変更手続きの整理まで含めて負担を減らしたい場合は、古物商の変更手続きを扱う行政書士へ相談することも選択肢です。

相談する場合は、

  • 現在の営業所所在地
  • 新しい営業所所在地
  • 移転予定日
  • 主たる営業所かどうか
  • 移転と同時に変更する予定の事項

を整理しておくと、自分の場合に必要な手続きを確認しやすくなります。

古物商の営業所移転に関するよくある質問

すでに営業所を移転してしまった場合はどうすればよいですか?

営業所所在地の変更は、本来、変更日の3日前までに行う事前届出です。

すでに移転している場合は放置せず、実際の移転日、旧所在地、新所在地、同時に変更した事項を整理して、管轄警察署へ速やかに確認してください。

主たる営業所を別の都道府県へ移すと許可を取り直す必要がありますか?

同じ許可主体が古物営業を続ける場合、主たる営業所を別の公安委員会管轄へ移すことについても変更届出の制度があります。

この場合、変更後の主たる営業所を管轄する公安委員会が届出先となります。

自宅兼営業所を引っ越す場合は営業所移転の届出だけでよいですか?

本人住所まで変わるのであれば、営業所所在地の事前届出だけでは終わりません。

営業所所在地についての第5号による事前届出に加えて、本人住所の変更について事後届出と許可証書換えを確認します。

営業所移転の変更届に手数料はかかりますか?

営業所所在地の変更届出自体には手数料はかかりません。

ただし、同時に許可証記載事項が変わり、許可証書換えが必要になる場合は、別の手続きとして確認してください。

営業所移転の変更届に添付書類は必要ですか?

営業所所在地だけについての事前届出では、警視庁や奈良県警は添付書類不要と案内しています。

ただし、営業場所の確保について確認資料を求められる場合があるため、実際の管轄警察署の案内を確認してください。

まとめ|営業所の移転が決まったら「何が変わるか」から整理する

古物商の営業所を移転するときは、原則として変更日の3日前までに別記様式第5号による事前の変更届出を行います。

この3日前は、たとえば4月5日に移転するなら4月1日までです。

そして、実際の手続きで最も大切なのは、第5号の書き方だけではありません。

移転が決まったら、

  1. いつ移転するか
  2. どの営業所を移すか
  3. 主たる営業所か
  4. 届出先となる公安委員会はどこか
  5. 実際にどの警察署へ提出するか
  6. 本人住所・法人所在地・管理者なども変わるか

を順番に確認してください。

ここまで整理すれば、3日前・14日・20日のどの期限が自分に関係するのかも判断しやすくなります。

営業所所在地だけの単純な変更であれば、自分で手続きを進められる場合もあります。

複数の変更が重なり、自分に必要な届出や期限を切り分けにくい場合は、管轄警察署へ確認するか、古物商の変更手続きを扱う行政書士への相談も検討してください。