古物商の競り売り届出はいつ必要ですか?対象ケース・期限・提出先を整理

古物商が、古物市場以外で自ら古物の競り売りをする場合は、原則として事前に競り売りの届出が必要です。

自社のウェブサイトなどを使い、非対面で買受けの申込みを受けて競り売りをする場合にも届出が必要です。

ただし、他社のオークションサービスを利用する場合など、取引の仕組みによっては競り売り届出の例外となるケースがあります。

そのため、「オークションをするから届出が必要」「他社サイトだから不要」とサービス名だけで判断するのではなく、誰が、どこで、どのような仕組みで売買するのかを整理することが重要です。

この記事では、競り売り届出が必要になるケースを最初に整理したうえで、期限・提出先・届出書・関連手続きまで解説します。

まず確認|あなたのケースでは競り売り届出が必要?

最初に大きな分岐を整理すると、次のようになります。

予定している取引まず確認すること
古物商が古物市場以外で自ら競り売りする原則として競り売り届出が必要
古物商が自社サイト等で自ら競り売りし、非対面で申込みを受ける競り売り届出が必要
古物競りあっせん業者のあっせんを受けて取引する競り売り届出の例外に該当するか確認
古物市場主が経営する古物市場で売買する本記事の競り売り届出とは区別して考える
他人同士の古物売買の場を提供する古物競りあっせん業を確認

ここで重要なのは、「ネットか、リアルか」だけで判断しないことです。

同じインターネット上の取引でも、自分で競り売りをする場合と、古物競りあっせん業者が提供するサービスを利用する場合では扱いが異なります。

まず自分がどの立場で、どのような取引をするのかを整理しましょう。

「競り売り」とは?入札との違いも確認する

競り売りかどうかは、サービス上の名称ではなく、実際の取引方法で考えます。

競り売りは、複数の買い手が互いの提示条件を把握できる状態で価格などを競い、その中から最も有利な条件を提示した相手が選ばれる取引方法です。

一方、ほかの参加者が提示した金額を分からない状態で、それぞれが希望額を提示し、後から最高額の人を選ぶ方法は「入札」として区別されています。

そのため、

「画面に『入札』と書いてあるから競り売りではない」

とは判断できません。

参加者がほかの参加者の提示条件を把握しながら価格を競う仕組みなのかを確認する必要があります。

店舗や会場で自ら競り売りをする場合

古物商が、自分の店舗や借りた会場など、古物市場主の経営する古物市場以外の場所で自ら競り売りをする場合は、原則として事前の競り売り届出が必要です。

自分の営業所で開催するからといって、競り売り届出が不要になるわけではありません。

具体的には、

  • 誰が古物を販売するのか
  • どこで競り売りをするのか
  • 参加者がどのように価格を提示するのか

を整理します。

会場を借りてオークション形式の販売を予定している場合も、まずこの取引方法を確認してください。

自社サイトなどで競り売りをする場合

古物商が自らウェブサイトを利用して競り売りを行い、非対面の方法で買受けの申込みを受ける場合にも、競り売り届出が必要です。

この場合は、会場などで行う競り売りとは、

  • 使用する届出書
  • 提出先
  • 届出書に記載する内容

などが異なります。

また、買受けの申込みを受ける通信手段には、ウェブ上の操作だけでなく、電話・電子メール・郵便などが関係する場合もあります。

したがって、「インターネットを使うか」だけでなく、どのように買受けの申込みを受けるのかまで確認します。

他社のオークションサービスを利用する場合

他社のオークションサービスを利用する場合は、特に注意が必要です。

「他社サイトを使う=自分の競り売り届出は不要」と一律には判断できません。

古物商が、古物競りあっせん業者のあっせんを受けて取引する場合には、競り売り届出の例外があります。

そのため、他社サービスを利用するときは、

  • 誰が売主になるのか
  • 誰が買主との取引を成立させるのか
  • 運営会社はどのような役割をしているのか
  • 売主と買主の取引をどのようにあっせんしているのか

を確認します。

サービス名だけでなく、実際の取引の仕組みを見ることがポイントです。

古物市場・古物競りあっせん業との違い

似た制度も整理しておきましょう。

古物市場で売買する場合

古物市場主が経営する古物市場での売買は、「古物市場以外で行う競り売り」の届出とは区別されます。

また、古物商として既存の古物市場へ参加することと、自分が古物市場を経営することも別の話です。

他人同士の売買の場を提供する場合

自分が古物を販売するのではなく、インターネット上で他人同士の古物売買の場を提供する場合には、「古物競りあっせん業」という別の制度が関係します。

つまり、

自分が古物を売るのか

と、

他人の古物売買をあっせんする場を運営するのか

を分けて考える必要があります。

競り売り届出以外の手続きが必要になる場合もある

競り売り届出が必要と分かっても、それだけで準備が終わるとは限りません。

取引方法によっては、別の手続きや現在の許可内容も確認します。

自社サイトを利用する場合はURLに関する届出も確認

自分のウェブサイトなどを利用して競り売りをする場合は、競り売り届出とは別に、URLに関する届出も確認します。

重要なのは、

URLに関する届出と競り売り届出は別の手続き

だということです。

競り売り届出を出したからといって、ウェブサイトを利用した古物取引に関するその他の届出まで自動的に済むわけではありません。

営業所以外で行う場合は「行商」も確認

ウェブサイト等を利用しない競り売りを営業所以外で行う場合には、古物商許可証の「行商」の欄も確認します。

営業所以外の会場で開催する場合は、

「競り売り届出を出したから、この場所で予定している行為はすべてできる」

とは考えず、現在の許可内容も確認しましょう。

会場で古物を受け取る場合は別に整理する

同じ会場でも、

  • 古物を販売するだけ
  • その場で古物を買い取る
  • 委託する古物を受け取る

では、確認すべき内容が異なる可能性があります。

古物の受取りを行わない場合まで、一律に仮設店舗営業の届出が必要になるわけではありません。

したがって、会場の場所だけでなく、その場所で実際に何をする予定なのかを整理してください。

競り売り届出はいつまで?「3日前まで」の数え方に注意

競り売りの届出は、競り売りを行う日の3日前までに行います。

ただし、「開催日の3日前の日に出せばよい」と単純に考えない方が安全です。

警察の公的案内では、この「3日前まで」を中3日を設ける意味として案内している例があります。

さらに、その期限となる日が土曜日・日曜日・祝日などの閉庁日に当たる場合は、その直前の開庁日が届出期限になるという案内もあります。

そのため、開催予定が決まったら、

  1. 競り売りを行う予定日を決める
  2. 届出先となる警察署を確認する
  3. 最終的な提出期限を確認する
  4. 利用できる受付方法を確認する
  5. 届出書を準備する

という順番で進めると分かりやすくなります。

開催直前に期限を計算するのではなく、予定日が決まった時点で届出準備へ入るのがおすすめです。

ウェブサイトを利用する場合は競り売りの期間も確認

ウェブサイトを利用して競り売りをする場合、警察の案内では、競り売りをしようとする期間について最大6か月とされています。

その期間を超えて引き続き行う場合は、再度の届出が必要になる場合があります。

ここで間違えやすいのが、

「古物商許可を6か月ごとに更新する」

という意味ではないことです。

あくまで、ウェブサイトを利用した競り売りの届出で設定する期間の話として区別してください。

また、この説明を会場型の競り売りにまで広げて、「競り売り届出はすべて6か月ごとの更新」と考えないようにしましょう。

競り売り届出はどこへ提出する?

提出先と届出書は、競り売りの方法によって異なります。

競り売りの方法提出先届出書
インターネットを利用しない競り売り競り売りを行う場所を管轄する警察署競り売り届出書・別記様式第10号
ウェブサイトを利用する競り売り売却する古物を取り扱う営業所の所在地を管轄する警察署競り売り届出書・別記様式第10号の2

ウェブサイトを利用する場合に、

「とりあえず主たる営業所の警察署へ出せばよい」

と一律に考えないことが重要です。

基準になるのは、売却する古物を取り扱う営業所です。

また、競り売りを行う都道府県に自分の営業所がない場合でも、ほかの都道府県にある営業所の所在地を管轄する警察署を経由して届け出られる場合があります。

県外の会場で開催する場合は、開催地だけで提出方法を決めず、事前に提出経路を確認してください。

届出書には何を書く?

会場などで行う場合|別記様式第10号

インターネットを利用しない競り売りでは、競り売り届出書・別記様式第10号を使用します。

主に、

  • 届出者の氏名・名称
  • 住所
  • 許可証番号
  • 許可年月日
  • 許可名義
  • 競り売りを行う日時
  • 競り売りを行う場所

などを記載します。

許可関係の情報は、古物商許可証と照らし合わせながら記入するとよいでしょう。

ウェブサイトを利用する場合|別記様式第10号の2

ウェブサイトを利用する場合は、競り売り届出書・別記様式第10号の2を使用します。

許可関係の情報に加えて、

  • URL
  • 競り売りをしようとする期間
  • 買受けの申込みを受ける通信手段の種類

などを記載します。

会場型とウェブサイト利用型では様式が違うため、自分の方法に合った届出書を使ってください。

届出の手数料・添付書類・持参物

競り売り届出について、公的な届出手数料はかかりません。

また、公的案内では、競り売り届出書1通・添付書類なしと案内されている例があります。

ただし、

「添付書類なし」=「何も持って行かなくてよい」ではありません。

地域によっては、窓口での確認のため、

  • 古物商許可証
  • 本人確認書類
  • 代理人が提出する場合の委任状
  • 法人の社員が提出する場合の所属確認資料

などの持参を案内しています。

届出書へ添付するものと、窓口で確認のため提示・持参するものを分けて考え、提出先の最新案内を確認してください。

窓口・オンラインなどの受付方法は地域ごとに確認する

競り売り届出は、警察署の窓口への持参だけとは限りません。

オンライン手続きの対象となっている地域もあります。

一方、全国すべての都道府県・すべてのケースで同じ受付方法が利用できるとは限りません。

そのため、

  • オンラインで出せる
  • 郵送すればよい
  • 必ず窓口へ行く

と全国一律には判断せず、実際の提出先となる都道府県警・警察署の最新案内を確認してください。

自分に届出が必要か分からないときは、この情報を整理する

公的資料を読んでも、自分のケースがどこに当たるのか分からないことがあります。

その場合は、「競り売り届出は必要ですか」と結論だけを尋ねる前に、次の情報を整理してみてください。

  • 自分が古物を販売するのか、他人の売買をあっせんするのか
  • どこで販売するのか
  • ウェブサイトを利用するのか
  • 参加者は、ほかの参加者の提示条件を確認できる仕組みか
  • 買受けの申込みをどの方法で受けるのか
  • 他社サービスを利用するなら、その運営会社はどのような役割をするのか
  • いつから開始する予定か
  • 現在の古物商許可で「行商」をすることになっているか
  • 会場で販売だけをするのか、買取りや委託品の受取りも行うのか

ポイントは、

「何というサービスを使うのか」より、「実際に誰が何をするのか」を説明できるようにすること

です。

これを整理して警察署などへ確認すれば、競り売り届出だけでなく、関連する手続きについても話を進めやすくなります。

届出が間に合わない・すでに始めてしまった場合

対象となる競り売りは、事前の届出が前提です。

開始予定日までに届出が間に合わない場合に、

「あとから出せば問題ないだろう」

と自己判断して予定どおり開始することは避けましょう。

すでに競り売りを始めている場合も、事後の届出によってどのような扱いになるかを一律に判断することはできません。

まず、

  • いつ開始したか
  • 開催場所または利用しているサイト
  • 実際の販売方法
  • 現在の届出状況

を整理し、届出先となる警察署へ確認してください。

古物商の競り売り届出は「書類」より先に「売り方」を整理する

競り売り届出で最初に確認するべきなのは、届出書の書き方ではありません。

自分がどの立場で、どこで、どのような仕組みで古物を販売するのかです。

迷ったら、次の順番で確認しましょう。

  1. 自分が古物を売買する側か、売買の場を提供する側か
  2. 予定している取引が競り売りに当たるか
  3. 会場・自社サイト・他社サービスのどれを利用するか
  4. URL・行商・取引場所など関連手続きがないか
  5. 開始予定日から届出期限を確認する
  6. 該当する届出書と提出先を確認する
  7. 提出先の最新の受付方法・持参物を確認する

自分で整理できる場合は、この順番で公式情報を確認しながら準備できます。

一方、複数の販売方法を組み合わせる場合や、競り売り届出・URLに関する手続き・行商などの関係を自分だけでは整理しにくい場合は、予定している取引方法をまとめたうえで、警察署や専門家へ個別に確認する方法もあります。

相談する場合も、

「競り売り届出が必要ですか」

だけではなく、

「誰が、どこで、どのような仕組みで、いつから古物を販売する予定なのか」

まで伝えられるようにしておくと、必要な手続きを整理しやすくなります。