「古物商許可を取ってから何年も経つけれど、一度も更新していない」
「運転免許のように有効期限があって、知らないうちに切れていないだろうか」
このように心配になっている方もいるでしょう。
結論からいうと、古物商許可には、一定年数ごとの定期的な更新手続はありません。また、現行の古物営業法には、古物商許可の有効期間を定める規定もありません。
そのため、許可を取得してから年数が経過したという理由だけで、定期更新をしたり、許可を取り直したりする制度ではありません。
ただし、ここで重要なのが、
「更新がない」=「許可取得後は何もしなくてよい」ではない
という点です。
住所や法人情報、営業所などに変更があった場合は変更届出が必要になることがあり、変更内容によっては許可証の書換えも必要です。
また、長期間営業していない場合や、改正前から持っている古い許可を現在使おうとしている場合には、更新とは別の確認が必要になることがあります。
この記事では、「更新していないけれど大丈夫?」という疑問から、今の自分に何か手続が必要なのかまで順番に整理します。
まず結論|更新時期より「許可取得後に何が変わったか」を確認する
古物商許可について最初に整理しておきたいのは、次の3点です。
- 一定年数ごとの定期更新制度はない
- 現行法には許可の有効期間を定める規定もない
- ただし、許可取得後に変更等があれば別の手続が必要になることがある
つまり、「許可を取ってから何年経ったか」だけを見るのではなく、
許可を取ったときから、何か変わったことがないか
を確認することが重要です。
住所、法人情報、営業所、代表者、役員、管理者などに変化があれば、更新ではなく変更届出や書換えの問題になります。
古物商許可には定期的な更新手続がない
古物商許可は、数年ごとに有効期間が満了し、その都度更新申請をして許可を延長する制度ではありません。
そのため、
「5年以上前に許可を取った」
「一度も更新手続をした覚えがない」
ということだけを理由に、更新忘れを心配する必要はありません。
ただし、これは定期更新についての話です。
古物営業法には、許可取得後の変更届出、一定の場合の許可取消し、廃業等に伴う許可証の返納といった別の制度があります。
そこで次に確認するのが、許可取得後に自分の状況が変わっていないかです。
更新は不要でも、変更があれば届出・書換えが必要になる
古物商許可を取得した後に一定の事項が変わった場合は、変更届出が必要になります。
ここで少し分かりにくいのは、すべての変更を同じ時期・同じ方法で届け出るわけではないことです。
大きく整理すると、次のように考えると分かりやすくなります。
| 確認すること | 基本的な扱い |
|---|---|
| 営業所関係の一定の変更 | 変更日の3日前までに事前届出 |
| その他の一定の変更 | 原則、変更日から14日以内 |
| 登記事項証明書を添付すべき変更 | 変更日から20日以内 |
| 許可証の記載事項も変わる | 書換えも確認 |
古物営業法施行規則では、事前届出について変更の日の3日前まで、事後届出について14日以内、届出書に登記事項証明書を添付すべき場合には20日以内と定めています。
営業所に関する一定の変更は3日前までに届け出る
主たる営業所の別や、営業所の名称・所在地などを変更しようとする場合は、変更の日の3日前までに事前の変更届出が必要です。
警察の公式案内でも、営業所の新設・移転・廃止などが事前届出の対象として整理されています。
ここで注意したいのは、「住所変更」という言葉だけでは手続を判断できないことです。
たとえば、
- 古物商本人の住所が変わった
- 法人の所在地が変わった
- 営業所を別の場所へ移した
では、確認すべき手続が同じとは限りません。
誰の、どの所在地が変わるのかを分けて確認する必要があります。
営業所を移転・新設・廃止する予定がある場合は、実際に変更してからではなく、事前に確認するのがポイントです。
氏名・住所・法人情報などは原則14日以内
事前届出の対象とは別に、変更後に届け出る事項もあります。
代表例としては、
- 個人の氏名・住所
- 法人の名称・所在地
- 法人の代表者・役員
- 営業所の管理者
- 取り扱う古物の区分
- 古物取引に使用するホームページ等
に関する変更があります。
事後届出は原則として変更の日から14日以内です。
ただし、届出書に登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内となります。
したがって、
「古物商の変更届は全部14日以内」
「法人なら全部20日以内」
のように覚えるのは正確ではありません。
変更があった場合は、
何が変わったか
↓
事前届出か事後届出か
↓
届出期限はいつか
の順番で確認すると整理しやすくなります。
許可証の記載事項が変わる場合は書換えも確認する
変更した事項が許可証の記載事項に当たる場合は、変更届出だけでなく許可証の書換えも必要になります。
警視庁の公式案内では、個人の氏名・住所、法人の名称・所在地、代表者に関する一定の変更、行商の有無などについて書換えを伴う手続が案内されています。
ここでいう書換えは、古物商許可を一定期間ごとに延長する「更新」とは別です。
許可証に記載されている情報を、現在の状態に合わせるための手続
と考えると分かりやすいでしょう。
また、一つの出来事から複数の届出が関係する場合もあります。
たとえば営業所を新設する場合、営業所そのものについての事前届出とは別に、新しい営業所の管理者等について事後届出が関係することがあります。警察の公式記載例でも、営業所の新設と、その営業所の取扱区分・管理者の届出は分けて案内されています。
そのため、大きな変更をした場合は、一つの届出だけで終わると決めつけず、関連して変わった事項がないかまで確認することが大切です。
昔取った古物商許可は今も使える?確認したい2つのケース
「更新制度がないなら、昔取った許可証もそのまま使えるのでは?」
と考える方もいるでしょう。
しかし、許可証を持っていることだけで、個別の許可が現在どう扱われているかまで判断するのは適切ではありません。
特に確認したいのが、
- 長期間営業していない場合
- 改正前から許可を持っている場合
です。
長期間営業していない場合|6か月で自動失効するわけではない
古物営業法第6条では、
- 許可を受けてから6か月以内に営業を開始せず、現に営業を営んでいない場合
- 引き続き6か月以上営業を休止し、現に営業を営んでいない場合
について、公安委員会が許可を取り消すことができると定めています。
ここは特に誤解しやすい部分です。
「6か月営業していない=自動的に許可が失効する」わけではありません。
一方で、
「更新がない=何年間営業していなくても必ずその許可をそのまま使える」
とも判断できません。
長期間営業していなかった方が再び古物営業を始めたい場合は、
- 許可を取得した時期
- いつ営業を始めたか
- いつから営業していないか
- その間に住所・営業所等の変更がなかったか
- 過去の届出状況
を整理して、現在の許可の扱いを管轄の警察署へ確認するとよいでしょう。
改正前から許可を持っている場合|2020年の移行手続も確認する
古い許可を持っている方には、もう一つ重要な確認事項があります。
2020年4月1日の改正古物営業法の全面施行に伴い、改正前の古物営業法の規定による許可を受けていた方には、「主たる営業所等届出書」に関する移行手続が設けられていました。
神奈川県警察の公式案内では、当時の対象者で、2020年3月31日までに「主たる営業所等届出書」を提出していなかった場合、許可は失効し、改めて許可申請が必要と案内されています。
これは数年ごとの更新とはまったく別の、法改正時の移行措置です。
したがって、改正前からの古い許可を持っていて、当時の届出状況が分からない場合は、
「許可証が手元にあるから大丈夫」
と判断せず、許可番号・取得時期などを整理して警察署へ確認しましょう。
古物営業をやめた場合は許可証の返納を確認する
すでに古物営業をやめている場合は、「更新しなければよい」という処理にはなりません。
古物営業法上、許可証の返納事由に該当する場合は許可証を返納する必要があります。
返納は、その事由の発生の日から10日以内に行うこととされています。
すでに古物営業を廃止しているのに、以前の許可証をそのまま保管している場合は、返納手続の対象になっていないか確認してください。
自分に手続が必要か、5分で確認する順番
「結局、自分は何を確認すればいいのか」と迷ったら、次の順番で整理してみてください。
1.更新そのものは心配しなくてよいか
古物商許可には、一定年数ごとの定期更新制度はありません。
まず、「更新を忘れたのでは」という不安と、それ以外の手続を切り分けます。
2.許可取得後に何か変わっていないか
たとえば、
- 氏名・住所
- 法人名・所在地
- 代表者・役員
- 営業所
- 管理者
- 取り扱う古物の区分
- 古物取引に使用するホームページ等
を確認します。
3.変更した日を確認する
変更事項があれば、「何が変わったか」と同時に「いつ変わったか」も確認します。
事前届出と事後届出では、手続の時期が異なるためです。
4.長期休止・古い許可・廃業に当てはまらないか
住所等の変更がなくても、
- 長期間営業していない
- 改正前から許可を持っている
- すでに古物営業をやめている
場合には、それぞれ別の確認が必要です。
5.判断しにくければ、状況を整理して公式窓口へ確認する
手続の要否が分からない場合は、いきなり必要書類を調べ始めるより、
- 許可番号
- 許可取得時期
- 何が変わったか
- 変更日
- 過去の届出状況
- 営業していなかった期間
を分かる範囲で整理しておくと、警察署へ確認しやすくなります。
具体的な様式・必要書類・受付方法等は、営業所の所在地を管轄する警察署・都道府県警察の最新案内を確認してください。
こんな場合は個別に確認した方が整理しやすい
次のような場合は、一つの変更だけを確認するより、現在の状態と過去の届出をまとめて整理した方が分かりやすいでしょう。
- 住所、法人情報、営業所など複数の変更が重なっている
- 変更してからかなり時間が経っている
- 過去にどの届出をしたか分からない
- 長期間営業しておらず、これから再開したい
- 改正前からの古い許可が現在どう扱われるか分からない
- 変更届だけでよいのか、許可証の書換えも必要なのか判断しにくい
自分で整理できる場合まで、必ず専門家へ依頼する必要があるという意味ではありません。
まずは自分の状況を整理し、公式窓口で確認できることは確認する。そのうえで、複数の変更が絡んで手続を切り分けにくい場合などは、行政書士への相談も選択肢になります。
よくある質問
古物商許可は何年ごとに更新するのですか?
古物商許可には、一定年数ごとの定期更新制度はありません。
現行の古物営業法には許可の有効期間を定める規定もないため、年数の経過だけを理由に定期更新する制度ではありません。
古物商許可に有効期限はありますか?
現行の古物営業法には、古物商許可について「許可日から○年間」といった有効期間を定める規定はありません。
ただし、変更届出、一定の場合の許可取消し、返納などは別問題です。「有効期間の規定がない」ことを「どんな状態でも永久に有効」と読み替えないようにしましょう。
古物商許可に更新料はかかりますか?
定期更新手続そのものがないため、定期的な更新申請のための更新料を支払う制度ではありません。
一方、変更に伴う書換えなど別の手続については、それぞれ最新の公式案内を確認してください。
6か月以上営業していないと許可は失効しますか?
「6か月以上営業していない」という事実だけで直ちに自動失効すると説明するのは正確ではありません。
古物営業法では、一定の長期未営業・休止について、公安委員会が許可を取り消すことができると定めています。長期間営業しておらず再開を考えている場合は、自分だけで有効・無効を判断せず、現在の状況を管轄警察署へ確認するとよいでしょう。
まとめ|「更新」よりも、許可取得後の変化を確認しよう
古物商許可には、一定年数ごとの定期的な更新手続はありません。また、現行法には古物商許可の有効期間を定める規定もありません。
したがって、許可取得から年数が経過したという理由だけで「更新を忘れて許可が切れた」と考える必要はありません。
一方で、確認すべきなのは許可を取得してから何が変わったかです。
住所、法人情報、営業所、代表者・役員、管理者などに変更があれば、変更届出や書換えが必要になることがあります。
さらに、
- 長期間営業していない
- 改正前から古い許可を持っている
- すでに廃業している
場合には、それぞれ更新とは別の確認事項があります。
迷ったときは、
何年経ったか
ではなく、
何が変わったか
↓
いつ変わったか
↓
これまで何を届け出たか
↓
長期休止・古い許可・廃業などの事情がないか
という順番で整理してください。
「更新していないけれど大丈夫?」という漠然とした不安を、自分が今確認すべき具体的な手続へ変えられれば、次の行動が見えやすくなります。

