「古物営業」という言葉を調べると、「古物商」「古物商許可」「古物営業法」など、似た言葉がいくつも出てきます。
中古品を扱う営業らしいことは分かっても、
- 古物営業とは具体的に何を指すのか
- 古物商とは何が違うのか
- 古物営業にはどのような種類があるのか
- 古物商許可とはどのような関係なのか
- ネットで中古品を扱う場合も古物営業に関係するのか
- 営業を始めると、どのようなルールが関係するのか
といった全体像までは分かりにくいかもしれません。
古物営業は、単に「中古品を販売すること」だけを表す言葉ではありません。
法律上はいくつかの営業に分かれており、その中の一つとして、一般によく知られている「古物商」の営業があります。
この記事では、古物商許可の具体的な取り方や、個別の取引について許可が必要かどうかを詳しく判定するのではなく、古物営業という制度・営業の全体像を整理します。
まず古物営業そのものを理解しておくと、その後に「古物商許可」「許可が必要・不要なケース」「古物営業法」「許可の取り方」のどれを詳しく調べればよいのか判断しやすくなります。
古物営業とは
古物営業とは、古物を取り扱う一定の営業を指す言葉です。
ここでいう「古物」は、日常会話で使う「中古品」と完全に同じ意味ではありません。
使用された物だけでなく、未使用であっても、使用のために取引された物などが古物に含まれることがあります。
そのため、
- 「使った物だけが古物」
- 「未使用なら古物ではない」
と単純に分けることはできません。
そして、こうした古物を取り扱う営業について定めているのが古物営業法です。
ただし、古物営業という言葉は「古物商として中古品を売買する営業」だけを指すものではありません。
古物営業には複数の種類があります。
古物営業・古物商・古物商許可・古物営業法の関係
古物営業を理解するために、まず混同しやすい4つの言葉を整理しておきましょう。
言葉 意味・位置づけ
- 古物営業 古物を取り扱う一定の営業全体を指す言葉
- 古物商 古物の売買・交換などを行う営業について許可を受けた者
- 古物商許可 古物商として営業するための許可制度
- 古物営業法 古物営業に関する制度や営業上のルールなどを定める法律
関係を簡単に整理すると、
古物営業という大きな枠組みがあり、その中の一つに古物商の営業がある。古物商として営業するためには許可制度があり、それらについて定めている法律が古物営業法である
と考えると分かりやすいでしょう。
特にこれから中古品などの買取り・仕入れ・販売を事業として行おうとしている人は、古物営業の中でも「古物商」との関係を確認することになります。
古物営業には3つの種類がある
古物営業は、大きく3つの営業に分けられます。
1.古物商
古物を売買・交換したり、委託を受けて売買・交換したりする営業です。
一般に、
「中古品を仕入れて販売したい」
「リユース品の買取りや販売を始めたい」
と考えている事業者が主に関係するのが古物商です。
店舗を利用して営業する形だけでなく、インターネットを利用した営業も考えられます。
古物商として営業する場合には、公安委員会による許可制度があります。
2.古物市場主
古物商同士が古物を売買・交換するための市場を経営する営業です。
一般消費者から古物を買い取り、販売する古物商とは役割が異なります。
古物市場主についても許可制度があります。
3.古物競りあっせん業
インターネットなどを利用し、一定の競りの方法によって古物の売買をあっせんする営業です。
古物商や古物市場主とは異なり、こちらは届出の制度となっています。
なお、自分がネットオークションを利用して商品を販売することと、売り手と買い手の取引をあっせんするサービスそのものを運営することは別です。
一般的な古物商はどのような営業をするのか
「古物商」と聞くと、リサイクルショップや中古品店を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、古物商の営業形態は店舗型だけではありません。
古物を取り扱う営業には、店舗を利用する方法のほか、インターネットを利用して仕入れや販売を行う形などもあります。
ここで重要なのは、古物商を単純に、
「中古品を売る人」
とだけ理解しないことです。
古物営業を考えるときは、販売だけを見るのではなく、
- どのような物を扱うのか
- どのように仕入れるのか
- どのように販売するのか
- 誰が営業するのか
- どこを営業の拠点とするのか
といった営業全体を整理する必要があります。
つまり、古物営業は「何を売るか」だけでなく、古物をどのような事業として取り扱うのかまで含めて考えるものです。
古物商許可は古物営業に関係する許可制度
古物営業について調べると、「古物商許可」という言葉が頻繁に出てきます。
そのため、
古物営業=古物商許可
のように見えるかもしれませんが、両者は同じ意味ではありません。
古物営業は営業の枠組みを表す言葉であり、古物商許可は、その中で古物商として営業するための許可制度です。
また、古物を扱うすべての取引について一律に古物商許可が必要になる、という意味でもありません。
許可が必要かどうかは、取り扱う物だけでなく、入手経緯や取引の目的、営業の実態などによって考える必要があります。
この記事では古物営業全体の理解を目的としているため、
- 私物を売る場合
- 転売目的で仕入れる場合
- 副業として行う場合
- ネット販売を行う場合
などについて、許可が必要か不要かという詳細な判断までは行いません。
自分の取引に古物商許可が必要なのかを詳しく確認したい場合は、「古物商許可が必要なケース・不要なケース」を扱う記事で確認すると理解しやすくなります。
古物営業法と古物営業の関係
古物営業について定めている法律が古物営業法です。
古物商として営業する場合は、許可を受けることだけではなく、実際の取引方法に応じたルールも関係します。
たとえば、営業内容によっては、
相手方の確認
取引に関する記録
標識の掲示
インターネット上での表示
などを確認する必要があります。
ここで押さえておきたいのは、古物営業には「営業を始めるための制度」と「営業を行ううえで守るルール」の両方があるという点です。
この記事ではその存在を理解するところまでとし、本人確認の具体的方法、記録義務、法律上の規定などは詳しく扱いません。
古物営業法の目的や具体的な義務・規制を知りたい場合は、「古物営業法」を詳しく解説する記事で確認する方が適しています。
ネットを利用して行う古物営業もある
現在では、実店舗だけでなく、インターネットを利用して古物を取り扱う営業も珍しくありません。
ただし、「ネット古物営業」という別の制度があるわけではありません。
古物商がインターネットを利用して営業する場合でも、古物営業のルールとの関係を考える必要があります。
営業方法によっては、
インターネット上の表示
非対面取引における相手方確認
使用するウェブサイトのURLに関する手続
などが関係することがあります。
そのため、ネットで古物を扱う場合は、
どのサービスを利用するかだけでなく、そのサービスを使って自分がどのように仕入れ、どのように販売するのか
まで整理することが大切です。
特定のフリマアプリやネットサービスを利用していることだけで、古物営業上必要な対応がすべて決まるわけではありません。
具体的にどの対応が必要になるかは、自分の営業形態に合わせて確認します。
古物営業を始める前に整理しておきたいこと
古物営業を始めようとすると、最初に「古物商許可をどう取るのか」を調べたくなるかもしれません。
しかし、その前に、
自分はどのような古物営業を行うのか
を整理しておくことが大切です。
ここで行うのは申請手続の準備そのものではなく、事業の形を整理することです。
どのような古物を扱うのか
まず、どのような物を取り扱う予定なのかを整理します。
扱う商品が決まれば、仕入れ方法や販売方法についても具体的に考えやすくなります。
どのように仕入れるのか
古物営業では、販売方法だけでなく仕入れ方法も重要です。
たとえば、
どこから仕入れるのか
対面で買い取るのか
非対面で買い取るのか
など、予定する方法を整理します。
どのように販売するのか
実店舗を利用するのか、自社サイトを利用するのか、外部のインターネットサービスを利用するのか。
一つだけではなく、複数の販売方法を組み合わせることも考えられます。
誰が営業するのか
個人として営業するのか、法人として営業するのかも重要です。
古物商許可では営業主体が関係するため、具体的な申請へ進む前に整理しておく必要があります。
どこを営業の拠点とするのか
古物商の営業では、営業所や管理者も関係します。
インターネットを中心に営業する場合でも、営業拠点について何も考えなくてよいわけではありません。
この段階で大切なのは、必要書類や申請手順を詳しく覚えることではありません。
古物営業は「商品を売る方法」だけを決めればよいものではなく、扱う物・仕入れ・販売・営業主体・営業拠点などを組み合わせて事業の形を考える必要がある
と理解しておくことです。
古物営業の全体像が分かったら、知りたい内容に合わせて詳しく確認する
古物営業について必要な情報は、読者が今どこまで決まっているかによって異なります。
古物営業の概要を理解した後は、自分が知りたい内容に合わせて詳しい情報へ進むと整理しやすくなります。
古物商許可そのものを詳しく知りたい
「古物商許可とはどのような許可なのか」「どのような制度なのか」を知りたい場合は、古物商許可について解説する記事で詳しく確認します。
自分に古物商許可が必要か知りたい
私物の売却、転売、副業、ネット販売などについて、自分の取引に許可が必要か確認したい場合は、古物商許可が必要なケース・不要なケースを解説する記事へ進みます。
古物営業法のルールを詳しく知りたい
相手方確認、取引記録、表示その他の法律上のルールを詳しく知りたい場合は、古物営業法について解説する記事で確認します。
古物商許可の申請方法を知りたい
すでに古物商許可が必要であることを確認し、
- どこへ申請するのか
- どのような書類を準備するのか
- どのような流れで申請するのか
- 費用や期間はどう考えるのか
を知りたい場合は、古物商許可の取り方を解説する記事へ進みます。
このように記事を分けて確認すれば、
古物営業全体を理解することと、
自分が今必要としている具体的な答えを得ること
を混同せずに情報を整理できます。
古物営業とは「中古品を売ること」より広い概念
古物営業は、単に中古品を販売することだけを意味する言葉ではありません。
古物営業には、
- 古物商
- 古物市場主
- 古物競りあっせん業
という異なる営業があります。
その中で、中古品などを仕入れたり買い取ったりして販売する事業者に広く関係するのが古物商です。
古物商として営業する場合には許可制度があり、実際に営業を始めた後も、取引方法に応じて守るべきルールがあります。
これから古物営業について調べる場合は、最初から許可申請の方法だけを見るのではなく、
「自分は、どのような古物営業をしようとしているのか」
を整理するところから始めると、必要な情報を見つけやすくなります。
そのうえで、
- 古物商許可という制度を詳しく知る
- 自分に許可が必要か確認する
- 古物営業法上のルールを確認する
- 具体的な許可申請の方法を確認する
というように、自分の疑問に合った詳細記事へ進むとよいでしょう。
個別の営業内容について判断しにくい点が残る場合は、管轄する警察署の公式案内を確認したり、古物商許可を取り扱う行政書士へ相談したりすることも選択肢の一つです。


