特定金属くず買受業の対象になることが分かったら、次は営業開始の届出準備です。
最初に押さえたいのは、営業開始届出書だけを提出すれば終わる手続ではないという点です。
個人の場合は住民票、法人の場合は定款・登記事項証明書・代表者の住民票が必要です。
さらに、個人・法人のどちらでも、営業所と特定金属くずの保管場所について平面図・周囲の略図を準備します。
新たに営業を始める場合は、営業開始日の前日までに届出を行います。
この記事では、必要書類の名前だけではなく、
- 何を先に確認するのか
- どの書類を役所から取得するのか
- どの書類を自分で作るのか
- 平面図・周辺略図はどう準備するのか
- 複数営業所がある場合はどう考えるのか
- どの公式資料を見ればよいのか
まで、実際の準備順に沿って解説します。
この記事のポイント
1.営業開始日の前日までに届出が必要です
営業を始めてから提出する手続ではありません。
2.個人と法人では必要書類が異なります
法人では、定款・登記事項証明書・代表者の住民票が基本です。
3.営業所・保管場所の図面も必要です
住民票や登記事項証明書だけ集めても届出準備は完成しません。
4.最後は管轄警察の最新案内を確認します
証明書の作成時期や図面の細かな記載方法、地域条例などは地域ごとの確認が必要になる場合があります。
特定金属くず買受業の届出を一覧で確認
まず、営業開始届出の全体像を把握しておきましょう。
| 項目 | 基本 |
|---|---|
| 届出 | 営業開始届出 |
| 使用様式 | 営業開始届出書(別記様式第1号) |
| 期限 | 営業開始日の前日まで |
| 単位 | 原則として営業所ごと |
| 窓口 | 営業所所在地を管轄する警察署 |
| 個人 | 住民票+営業所・保管場所の図面等 |
| 法人 | 定款・登記事項証明書・代表者住民票+図面等 |
特定金属くず買受業は、営業所ごとに公安委員会への届出が必要です。
制度全体の最新情報は、警察庁の公式ページで確認できます。
届出様式をすぐ確認したい場合は、都道府県警の届出ページが実用的です。
届出期限は営業開始日の前日まで
新しく特定金属くず買受業を始める場合は、営業開始日の前日までに開始届出を行います。
そのため、
「営業を始めてから、あとで届け出ればよい」
という順番ではありません。
実際には、住民票や登記事項証明書を取得するだけでなく、営業所・保管場所の図面も必要になります。
営業開始日を決めたら、
必要書類を確認 → 証明書取得・図面作成 → 届出
という順で逆算して準備しましょう。
なお、2026年6月1日時点で既に営業していた事業者向けの経過措置は終了しています。
警視庁は、未届出の既存事業者について2026年9月1日以降は営業できないと案内しています。
届出先は営業所所在地を管轄する警察署
開始届出は、営業所所在地を管轄する警察署長を経由して公安委員会へ提出します。
準備するときは、
- 営業所の所在地を確定する
- 管轄警察署を確認する
- 都道府県警の最新届出ページを見る
という順番がおすすめです。
大阪府で手続する場合は、届出書・記載例・必要書類が一つのページにまとまっています。
営業開始届出書には何を書く?
営業開始届出書は別記様式第1号です。
主に、
- 氏名または名称
- 住所
- 法人の場合は代表者の氏名
- 営業所の所在地
- 特定金属くずの保管場所の所在地
などを記載します。
つまり、届出書を書く前に、
営業所と保管場所を確定しておくこと
が必要です。
先に証明書だけ集めても、営業場所・保管場所が曖昧なままだと図面や届出書を完成させられません。
特定金属くず買受業の必要書類
必要書類は、個人・法人に共通するものと、それぞれ追加で必要になるものに分けると分かりやすくなります。
個人・法人に共通する書類
共通して必要になる基本書類は、
- 営業開始届出書
- 営業所の平面図
- 特定金属くずの保管場所の平面図
- 営業所・保管場所の周囲の略図
です。
個人の場合
個人では、共通書類に加えて住民票の写しを添付します。
日本人の場合は本籍、外国人の場合は国籍等が記載された住民票が施行規則上求められています。
大阪府警では、個人番号を省略した住民票と案内しています。
基本的には、
- 営業開始届出書
- 本人の住民票
- 営業所の平面図
- 保管場所の平面図
- 営業所・保管場所周辺の略図
を準備します。
法人の場合
法人では、
- 営業開始届出書
- 定款
- 登記事項証明書
- 法人代表者の住民票
- 営業所の平面図
- 保管場所の平面図
- 営業所・保管場所周辺の略図
を準備します。
重要なのは、施行規則上の基本では法人代表者の住民票であることです。
「法人だから役員全員の住民票を準備しなければならない」と思い込む必要はありません。
定款の写しについては、原本証明の方法を案内している県警もあります。
このような細かな提出方法は全国一律として扱わず、管轄警察の最新案内を確認しましょう。
必要書類は「取得するもの」と「作るもの」に分ける
届出準備は、書類名だけを見るより2種類に分けた方が進めやすくなります。
役所等から取得・準備するもの
個人の場合は主に住民票です。
法人では、
- 住民票
- 登記事項証明書
- 定款
などを準備します。
証明書について「届出日前3か月以内」などの条件を案内している県警もあります。
たとえば鳥取県警のガイドでは、住民票・登記事項証明書について概ね3か月以内のものと案内しています。
これは全国一律の法定期限として断定せず、取得する前に管轄警察の案内を確認するのが安全です。
自分で作るもの
主に、
- 営業開始届出書
- 営業所の平面図
- 保管場所の平面図
- 周囲の略図
です。
特に図面は役所から発行されるものではありません。
住民票や登記事項証明書の取得と並行して、早めに図面作成へ着手しましょう。
営業所・保管場所の平面図と周囲の略図
施行規則では、営業所と特定金属くずの保管場所について、平面図と周囲の略図を添付することが定められています。
大阪府警では、営業所と保管場所が同じ敷地にある場合、営業所の平面図に保管場所を記載すれば足りると案内しています。
広島県警では、
- 出入口
- 買受場所
- 保管場所
- 営業所と保管場所の位置関係
などが分かる記載例を公開しています。
全国一律に全く同じ記載方法を要求されるとは限らないため、図面は管轄県警の記載例を見てから作るのがおすすめです。
複数の営業所がある場合
原則として営業所ごとに届出が必要ですが、同じ公安委員会に対して同時に複数営業所の開始届出を行う場合には、いずれか一つの営業所を管轄する警察署長を経由してまとめて提出できます。
さらに、添付書類のうち内容が同じものは、いずれか一通に1部添付すれば足りる取扱いがあります。
ただし、これは同じ公安委員会の管轄内という条件があります。
大阪府警も、大阪府内の複数営業所を同時に届け出る場合に限ってまとめて提出できると案内しています。
東京都と大阪府など、別の公安委員会にまたがる営業所を一つにまとめられるという意味ではありません。
営業開始届出書・記載例は公式サイトから取得する
民間サイトに保存された古い様式ではなく、都道府県警の現行ページから取得するのが安全です。
大阪府警では、営業開始届出書と記載例が公開されています。
山口県警でも、別記様式第1号~第3号が公開されています。
静岡県警では、様式だけでなく法律・施行規則・案内資料も一つのページから確認できます。
自分で届出する方の準備順
自力で進める場合は、
- 営業所と保管場所を確定
- 管轄警察署を確認
- 最新様式・記載例を取得
- 個人・法人別の証明書類を確認
- 平面図・略図を作成
- 営業開始届出書を記入
- 管轄警察の案内と照合
- 営業開始日の前日までに提出
という順番で進めると分かりやすくなります。
オンラインで届出できる場合もある
オンライン手続については、都道府県警ごとの最新案内を確認してください。
警視庁では、特定金属くず買受業の「開始」「廃止」「変更」を行政手続オンラインの対象として掲載しています。
大阪府警でも「特定金属くず買受業の開始の届出」がオンライン対象手続として掲載されています。
したがって、
「必ず窓口へ持参しなければならない」
とは限りません。
オンライン提出を希望する場合は、営業所所在地を管轄する都道府県警の対象手続一覧を確認してください。
届出手数料は?
大阪府警の現行案内では、営業開始届出について事務手数料なしと明示されています。
鳥取県警のガイドでも手数料なしと案内されています。
全国記事としては、最終的に管轄警察の現行ページも確認してください。
地域条例が別に関係することがある
金属盗対策法による開始届出だけで、地域の金属くず営業に必要なすべての手続が終わるとは限りません。
広島県では、国の金属盗対策法による届出とは別に、広島県の金属くず業条例による届出が必要になる場合があると県警が案内しています。
つまり、
国法上の届出
と
地域条例上の手続
を別々に確認する必要があるケースがあります。
営業所を置く都道府県の警察サイトを最後に確認してください。
古物商許可も関係する場合
特定金属くず買受業と古物商は別制度です。
使用可能な中古品なども買い取る場合は、古物商許可側の確認も必要になることがあります。
そもそも「古物」とは何かから確認したい方はこちらです。
古物商許可でできること・できないことを整理したい場合はこちらです。
古物商許可の必要書類まで確認したい場合はこちらです。
自分で警察署へ申請する流れはこちらです。
届出を出したら終わりではない
営業開始届出が済んだ後も、特定金属くず買受業者には、
- 氏名等の表示
- 買受相手の本人確認
- 本人確認記録
- 取引記録
- 不審な取引についての警察への申告
などの義務があります。
したがって、営業開始までに必要なのは、
開始届を出すこと
だけではありません。
実際の買取を始めた後に必要となる本人確認・記録方法も準備しておく必要があります。
よくある質問
営業開始届出はいつまでに出しますか?
新規に営業を始める場合は、営業開始日の前日までです。
届出先はどこですか?
営業所所在地を管轄する警察署長を経由して、都道府県公安委員会へ届け出ます。
法人は役員全員の住民票が必要ですか?
全国共通の施行規則で定められているのは法人代表者の住民票です。
営業所と保管場所が同じ敷地でも図面は必要ですか?
図面は必要ですが、大阪府警では営業所の平面図に保管場所を記載すれば足りると案内しています。
複数営業所をまとめて届け出られますか?
同じ公安委員会に同時に複数営業所の開始届出をする場合は、いずれか一つの管轄警察署を経由してまとめて提出できます。
オンラインでも届出できますか?
警視庁・大阪府警では開始届出をオンライン対象手続として掲載しています。実際に利用する場合は、自分の営業所所在地を管轄する警察の現行案内を確認してください。
自分で進めるか、個別に整理してもらうか迷ったら
営業所が1か所で、必要書類も明確、図面も自分で準備できるのであれば、警察の公式様式・記載例を確認しながら自分で進めることができます。
一方で、
- 複数の営業所・ヤードがある
- 営業所と保管場所が別
- 地域条例も関係する
- 古物商許可も同時に必要
- 図面の作り方で迷っている
- どの制度を先に整理すればよいか分からない
という場合は、書類を書き始める前に手続全体を整理した方が効率的です。
まず自分で進める方は、営業所所在地を管轄する都道府県警の公式様式と記載例を確認して、必要書類を一式並べるところから始めてください。
古物商許可も同時に必要な方は、古物商許可側のサポート内容も確認できます。
特定金属くず買受業については、営業所・保管場所・現在の許認可状況を整理したうえで、管轄警察または許認可を扱う行政書士へ個別に確認すると、必要な手続を切り分けやすくなります。
特定金属くず買受業の届出は、書類を集めること自体がゴールではありません。営業開始前に届出を済ませ、その後の本人確認や記録まで含めて営業体制を整えることがゴールです。

