特定金属くず買受業の対象になることは分かったものの、
「いつまでに届け出ればいい?」
「個人と法人では何が必要?」
「営業所や保管場所の図面はどう準備する?」
と、実際の届出準備で迷う方もいるでしょう。
ココがポイント
新たに特定金属くず買受業を始める場合は、営業開始日の前日までに営業開始届出書を提出します。
また、届出は原則として特定金属くずの買受けを行う営業所ごとです。
制度全体については、警察庁「金属盗対策」 でも確認できます。
準備は、
営業所・保管場所を決める
↓
管轄警察署と最新様式を確認する
↓
個人・法人別の添付書類を揃える
↓
平面図・周囲の略図を作る
↓
営業開始届出書を完成させる
↓
営業開始日の前日までに提出する
という順番で進めると整理しやすくなります。
なお、
自分が買い取る物が、そもそも特定金属くずに当たるか分からない
という方は、書類を集める前に、古物商と特定金属くずの違い・対象判定を確認する へ進んでください。
特定金属くず買受業の届出方法|期限・提出先・必要書類

まず、営業開始届出の全体像を整理します。
| 確認項目 | 基本的な取扱い |
|---|---|
| 届出 | 営業開始届出書 |
| 様式 | 別記様式第1号 |
| 期限 | 営業開始日の前日まで |
| 届出単位 | 原則として買受けを行う営業所ごと |
| 届出先 | 営業所所在地を管轄する都道府県公安委員会 |
| 提出窓口 | 営業所所在地を管轄する警察署 |
| 主な添付書類 | 平面図・周囲の略図、個人・法人別の書類 |
| 提出方法 | 管轄都道府県警の最新案内を確認 |
営業開始届出書は別記様式第1号です。
警察庁が公開している施行規則の様式にも、営業所所在地、保管場所、営業開始予定日などの記載欄があります。
法的な届出先は公安委員会ですが、実際には営業所所在地を管轄する警察署長を経由して提出します。大阪府警も「営業所の所在地を管轄する警察署」を届出場所として案内しています。
大阪府で提出する場合は、営業開始届出書・記載例・必要書類をまとめて確認できます。
届出前に営業所・保管場所・営業開始日を決める
住民票や登記事項証明書を先に集めるよりも、まず次を整理した方が手続を進めやすくなります。
- 特定金属くずを買い受ける営業所
- 特定金属くずの保管場所
- 営業開始予定日
- 営業所の連絡先
- 管轄警察署
開始届出書には、営業所だけでなく、特定金属くずの保管場所についても記載欄があります。
会社のすべての拠点が届出対象の「営業所」とは限らない
届出対象となる営業所は、特定金属くずの買受けを行う営業所です。
警視庁は、本人確認記録や帳簿を保存しているだけで特定金属くずの買受けを行わない営業所については、開始届出を行う必要はないと案内しています。警視庁
そのため複数拠点がある場合は、
「どの場所で実際に特定金属くずを買い受けるのか」
を先に整理してください。
営業所を設けず行商のみを行う場合は、住所または居所を営業所とみなす取扱いがあります。
特定金属くず買受業の必要書類|個人・法人別

必要書類は、
個人・法人に共通するもの
+
個人または法人ごとの添付書類
に分けると分かりやすくなります。
個人・法人に共通して準備する書類
基本となるのは、
- 営業開始届出書(別記様式第1号)
- 営業所の平面図
- 特定金属くずの保管場所の平面図
- 営業所・保管場所の周囲の略図
です。
個人で届出する場合
個人では、主に次を準備します。
- 営業開始届出書
- 営業者本人の住民票の写し
- 営業所・保管場所の平面図
- 周囲の略図
大阪府警では、住民票について本籍地を記載し、個人番号を省略したものを案内しています。
住民票を取得する前に、営業所所在地を管轄する警察の最新案内も確認すると手戻りを防ぎやすくなります。
法人で届出する場合
法人では、主に次を準備します。
- 営業開始届出書
- 定款
- 登記事項証明書
- 法人代表者の住民票の写し
- 営業所・保管場所の平面図
- 周囲の略図
大阪府警の現行案内でも、住民票は法人代表者について求められています。
そのため、古物商許可など他の警察手続と混同し、
「法人なら役員全員の住民票が必要」
と決めつけないようにしてください。
証明書の発行時期などは管轄警察の最新案内を確認する
住民票・登記事項証明書等については、地域の警察が提出上の細かな条件を案内している場合があります。
そのため、本記事では「全国一律で必ず発行3か月以内」などと固定せず、提出する地域の最新案内を最後に確認することを前提とします。
営業所・保管場所の平面図と周囲の略図はどう準備する?

届出準備の中でも特に迷いやすいのが図面です。
施行規則では、営業所と特定金属くずの保管場所について、平面図とそれらの周囲の略図を添付することとされています。
つまり、
平面図だけ
を作れば終わりではありません。
平面図は営業所と保管場所の範囲が分かるようにする
平面図では、
どの部分が営業所で、どの部分が特定金属くずの保管場所なのか
が確認できるようにします。
営業所と保管場所が同じ敷地内にある場合、大阪府警では、営業所の平面図に保管場所を記載すれば足りると案内しています。
したがって、
営業所用と保管場所用の図面を必ず別々に2枚作らなければならない
とは限りません。
周囲の略図は所在地・位置関係が分かるようにする
大阪府警では、営業所と保管場所周辺の略図について、営業所と保管場所の位置関係が分かるものと案内しています。
図面について、今回確認した公的資料では、建築士等の専門資格者による作成が必要という条件までは示されていません。
一方、
手書きなら必ず受理される
市販地図を貼れば必ず足りる
と形式を断定することも避けた方が安全です。
作り方に迷う場合は、提出直前ではなく図面を作る前に管轄警察署へ確認すると手戻りを減らしやすくなります。
複数の営業所がある場合の届出と添付書類

複数の営業所で特定金属くずを買い受ける場合も、原則として営業所ごとの届出です。警視庁東京都警察
ただし、提出方法等には特例があります。
同じ公安委員会へ複数営業所を同時に届け出る場合
同じ都道府県公安委員会に対して複数営業所の開始届を同時に行う場合、対象営業所のいずれか一つを管轄する警察署を通じて、まとめて提出できる仕組みがあります。
大阪府警も、大阪府内に複数営業所があり同時に届出をする場合は、いずれか一つの営業所を管轄する警察署へまとめて届出できると案内しています。大阪府警察
ただし、
複数営業所が一つの営業所として1件の届出になる
という意味ではありません。
すでに届出済みで、同じ公安委員会内に営業所を追加する場合
現に届出をしている買受業者が、同じ公安委員会の管轄区域内で新たに営業所を設ける場合には、添付書類について特例があります。
大阪府警は、この場合、営業所・保管場所の平面図と周囲の略図を添付する取扱いを案内しています。大阪府警察
したがって、複数拠点を展開するときに、最初の届出と同じ証明書をすべて取得し直すとは限りません。
特定金属くず買受業の届出準備は「決める・取得する・作る」の順で進める
実際には次の順番で進めると整理しやすくなります。
STEP1 営業所・保管場所・営業開始日を決める
まず、
- 買受けを行う営業所
- 保管場所
- 営業開始予定日
を確定します。
STEP2 管轄警察署と最新様式を確認する
営業所所在地から管轄を確認し、最新の営業開始届出書・記載例を取得します。
大阪府警では、営業開始届出書と記載例が公開されています。
STEP3 取得する書類を揃える
個人なら住民票、法人なら定款・登記事項証明書・代表者住民票などを準備します。
STEP4 平面図・周囲の略図を作る
営業所・保管場所を確定した後に作成します。
STEP5 営業開始届出書を記入する
届出書と証明書・図面について、
- 氏名・名称
- 営業所
- 保管場所
- 法人代表者
- 連絡先
などに食い違いがないか確認します。
STEP6 提出書類一式を照合する
個人か法人か、複数営業所かなど、自社の条件に応じて最終確認します。
STEP7 営業開始日の前日までに提出する
開始後ではなく、開始日の前日までです。大阪府警察
提出前に確認したい7項目
書類が揃ったら、最後に次を確認します。
- □ 営業開始日の前日までに提出できる
- □ 買受けを行う営業所を正しく整理した
- □ 保管場所の所在地に誤りがない
- □ 個人・法人に応じた添付書類を揃えた
- □ 平面図と周囲の略図を準備した
- □ 届出書・証明書・図面の所在地や名称が一致している
- □ 管轄警察の最新様式・提出方法を確認した
ここまで確認できれば、単に必要書類を集める段階から、実際に提出できる状態かを確認する段階へ進めます。
書類・図面の準備を自分で行うか、行政書士への依頼も含めて比較したい場合は、特定金属くず買受業の届出代行を確認する へ進めます。
営業開始届出書は警察の最新公式様式を使う
営業開始届出書は別記様式第1号です。警察庁
民間サイト等に保存された古い様式ではなく、実際に提出する時点で、管轄都道府県警の公式ページから最新様式・記載例を確認してください。
オンライン届出に対応している地域もある
警視庁では、特定金属くず買受業の「開始・廃止・変更」を行政手続オンラインの対象として掲載しています。大阪府警でも、開始届出がオンライン対象手続に含まれています。警視庁東京都警察
そのため、
「必ず紙を警察署へ持参する」
とも、
「全国どこでもオンラインで完結する」
とも一律にはいえません。
警視庁「行政手続オンライン対象一覧」
大阪府警「オンライン対象手続一覧」
手数料は地域の最新案内を確認する
大阪府警では、営業開始届出について事務手数料なしと案内しています。大阪府警察
全国向けの記事としては、営業所所在地を管轄する警察の現行案内を確認してください。
すでに営業しているのに未届出の場合は別に確認する
2026年6月1日時点ですでに特定金属くず買受業を営んでいた事業者には経過措置がありましたが、2026年8月31日で終了しています。
警視庁は、届出をしていない事業者について、2026年9月1日以降は未届出のまま特定金属くず買受業を営むことはできないと案内しています。
そのため、
すでに営業しているが届出をしていない
という場合は、これから営業を始める人向けの通常手続だけで自己判断せず、特定金属くず買受業の届出を忘れた場合の対応を確認する へ進んでください。
届出後は本人確認・取引記録の準備へ進む
特定金属くず買受業は、古物商のような許可制ではなく届出制です。
営業開始届出書には届出番号等の欄が設けられており、届出後は本人確認・本人確認記録・取引記録など、営業時の義務を確認する必要があります。警察庁
これらは開始届出とは別の実務なので、このページでは詳説しません。
届出準備が完了したら、特定金属くず買受業の本人確認・取引記録を確認する へ進んでください。
また、地域独自の金属くず規制、産業廃棄物、ヤード規制等も含めて事業全体を確認したい場合は、金属スクラップ買取に必要な許可・届出の全体像を確認する へ進めます。
まとめ|必要書類より先に「営業所・保管場所・開始日」を決める
特定金属くず買受業の開始届出では、必要書類の名称を知るだけでは手続は進みません。
まず、
営業所
↓
保管場所
↓
営業開始予定日
↓
管轄警察署
を整理します。
そのうえで、
個人・法人別の書類
↓
平面図・周囲の略図
↓
営業開始届出書
を揃えていくと進めやすくなります。
特に重要なのは、
- 営業開始日の前日まで
- 原則として買受けを行う営業所ごと
- 法人の住民票は法人代表者
- 営業所・保管場所について平面図と周囲の略図
- 細かな提出方法は管轄警察の最新案内を確認する
という点です。大阪府警察
対象かどうかがまだ分からない場合は対象判定へ、届出準備が完了した場合は本人確認・取引記録の準備へ進んでください。


