中古車販売で開業するには?必要な許可・資金・仕入れと準備の進め方

中古車販売を開業するなら、まず確認したいのが古物商許可です。事業として中古車を仕入れて販売・交換したり、委託を受けて売買したりする場合は、都道府県公安委員会の許可が関係します。古物の区分には「自動車」があり、その部分品も含まれます。

ただし、古物商許可を取れば開業準備が終わるわけではありません。

どこを営業拠点にするのか。車をどこから仕入れるのか。仕入れた車が売れるまでの資金をどう確保するのか。販売後の登録や納車を誰が担当するのか。自社で整備や使用済自動車の引取りまで行うのか。

こうした準備がつながって、初めて実際に営業できる状態になります。

中古車販売の開業では、必要な手続きをバラバラに調べるより、自分がどのように車を売るのかを先に決め、その計画に必要な「場所・許可・資金・仕入れ・販売体制」を順番に確認すると整理しやすくなります。

この記事では、これから国内で中古車販売を始めたい方に向けて、開業前に何を決め、何を確認し、どの順番で準備を進めればよいかを解説します。

※制度情報は2026年9月時点で確認した内容をもとにしています。地域や特定事業者に限定される情報は、その条件が分かるように記載しています。

この記事のポイント

中古車販売の開業は、次の流れで考えると全体像をつかみやすくなります。

  1. どのような販売方法で始めるか決める
  2. 営業場所と必要な許認可を確認する
  3. 開業資金・仕入資金・運転資金を試算する
  4. 実際に利用できる仕入れ先を確保する
  5. 買取りから登録・納車まで営業の流れを作る

特に重要なのは、「許可を取れるか」だけでなく、その計画で実際に車を仕入れ、売り、代金を回収し、次の仕入れへ進めるかまで考えることです。

中古車販売の開業では、まず「どんな売り方をするか」を決める

最初から許可申請や物件契約へ進む必要はありません。

まず、自分が考えている中古車販売の形を簡単に整理します。

在庫を持つか、注文を受けてから仕入れるか

販売用の車を先に仕入れ、展示して販売するなら、車両の仕入資金と保管場所を考える必要があります。

一方、顧客の希望を聞いてから車を探す注文販売を中心にすれば、最初から多くの在庫を持たない設計も考えられます。

ただし、在庫を持たなければ資金がほとんど不要になるわけではありません。

顧客から代金を受け取る時期と、仕入れ先へ代金を支払う時期が一致するとは限らないため、お金が入る日と出ていく日まで確認しておく必要があります。

店舗型か、自宅などを拠点にするか

大きな店舗や展示場を構える形だけが、中古車販売の方法ではありません。

自宅などを営業拠点として、小規模に始める方法を検討する人もいるでしょう。

ただし、

  • 古物営業上の営業所
  • 車を展示する場所
  • 車を保管する場所
  • 顧客と商談する場所
  • 車を引き渡す場所

は、すべて同じとは限りません。

店舗を持たない計画でも、どこを営業の拠点とし、どこで車を管理するのかは整理しておきましょう。

自宅・賃貸物件を営業所候補にしている方は、物件の種類だけで○×を判断せず、実際の使い方と契約条件を確認する必要があります。

さらに詳しく確認する:
古物商許可は自宅で取れる?住まい別の確認点と申請前の進め方

中古車販売以外に何を行うか

中古車の販売・買取りだけを行うのか。

それとも、

  • 使用済自動車の引取り
  • フロン類の回収
  • 解体
  • 自動車整備

まで自社で行うのかによって、確認する制度が変わります。

「中古車屋を開業する」と大きくまとめるのではなく、自社で実際に行う作業を書き出すことが、必要な許認可を整理する第一歩です。

中古車販売の開業に必要な古物商許可を確認する

中古車の仕入れ・販売には古物商許可が関係する

中古車を事業として仕入れ、販売する場合は、古物営業の許可について確認する必要があります。埼玉県警は、古物営業を営む場合の許可申請窓口を、主たる営業所の所在地を管轄する警察署と案内しています。

古物営業に関する申請手続(埼玉県警察)

自分の予定する取引が古物営業に該当するか判断しにくい場合は、営業所を予定する地域の警察へ、予定している仕入れ・販売方法を具体的に伝えて確認するとよいでしょう。

個人と法人のどちらで申請するか先に決める

古物商許可は、個人申請と法人申請で準備する書類が異なります。

警視庁の現行案内では、個人申請では本人と営業所管理者、法人申請では法人に加えて役員全員と営業所管理者に関する添付書類が案内されています。

そのため、

「まず個人で始めるのか」
「最初から法人で営業するのか」

は、許可申請へ進む前に整理しておくと準備しやすくなります。

個人・法人をどちらにするか迷っている場合は、許可名義を決める前に違いを整理しておきましょう。

古物商許可は個人・法人どっちで取る?

営業所ごとに管理者を決める

古物商は、営業所ごとに管理者を選任して申請します。警視庁の必要書類案内でも、営業所管理者について略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書などが挙げられています。

申請準備では、

  • 誰が許可を申請するか
  • どこを営業所とするか
  • 誰を管理者とするか

まで決めておきます。

古物商許可の申請先・必要書類・費用・期間

古物商許可の申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署です。実際の担当部署や受付方法は、所在地を管轄する都道府県警の最新案内で確認してください。

警視庁の案内では、個人申請について、本人・管理者の略歴書、住民票の写し、誓約書、身分証明書などが必要書類として挙げられています。

法人では、定款・登記事項証明書に加え、役員全員と営業所管理者に関する書類が必要です。

ここでいう「身分証明書」は運転免許証等ではなく、本籍地の市区町村が発行する証明書です。

書類を実際に集める段階では、個人・法人、管理者、ウェブサイト利用の有無などによって必要書類を整理すると分かりやすくなります。

古物商許可の必要書類一覧|個人・法人別に準備順まで解説

費用と期間は、地域の公式情報で確認する

警視庁と神奈川県警の現行案内では、新規許可申請の手数料は19,000円です。これは古物商許可の公的な申請手数料であり、開業費用全体や行政書士報酬ではありません。

神奈川県警は、許可証交付までの期間を概ね40日と案内しています。これは神奈川県警の案内であり、全国一律の日数や40日での交付を保証するものではありません。

古物営業許可申請手続(神奈川県警察)

開業日を決めるときは行政側の処理期間だけを見るのではなく、

  • 営業所の確認
  • 必要書類の取得
  • 申請準備
  • 許可後の仕入れ・販売準備

まで含めて逆算しましょう。

中古車販売で廃車引取り・整備を行う場合の追加手続き

古物商許可だけで、中古車に関係するすべての業務を行えるわけではありません。

自社で何を行うかによって、別の登録・許可・認証が関係します。

自社で行う業務確認する制度
所有者から使用済自動車を引き取る引取業の登録
使用済自動車からフロン類を回収するフロン類回収業の登録
使用済自動車を解体・破砕する解体業・破砕業の許可
自社で自動車の特定整備を行う自動車特定整備事業の認証

環境省は、自動車リサイクル法上、引取業者とフロン類回収業者を登録制、解体業者・破砕業者を許可制として整理しています。

自動車リサイクルの概要(環境省)

また、自動車特定整備事業を始める場合は、地方運輸局長の認証が必要です。

自動車特定整備事業について(国土交通省)

中古車販売だけを行うのか、それとも使用済自動車の取扱いや整備まで行うのかを先に決め、必要な制度だけ確認しましょう。

中古車販売は自宅で開業できる?営業所・展示場・保管場所の考え方

「中古車販売を始めるには、大きな店舗や展示場が必要なのか」と迷う方もいるでしょう。

ここで重要なのは、

営業所があること
と
大量の車を展示する店舗があること

を同じ問題として考えないことです。

自宅や賃貸物件を営業拠点として検討する場合も、

  • 帳簿や事務作業を行う場所
  • 来客・商談を行う場所
  • 販売車両を保管する場所
  • 納車する場所

を分けて整理します。

さらに賃貸物件なら、予定する営業方法が賃貸借契約や管理規約上問題ないかも確認しておきましょう。

自宅を営業所にする場合の考え方や、賃貸・持ち家での確認点は、詳細記事で整理しています。

古物商許可は自宅で取れる?賃貸・持ち家の確認点

中古車販売の開業資金はいくら必要?3つに分けて考える

中古車販売を始めるとき、「いくらあれば開業できるのか」は気になるところです。

しかし必要資金は、店舗の有無、在庫台数、仕入価格などで大きく変わります。

そのため、最初から「開業資金○○万円」と決めるより、次の3つへ分けて考えると現実的です。

資金主な内容
開業準備資金物件、設備、備品、ホームページ、許認可など
仕入資金販売用中古車の仕入代金や仕入れに伴う支出
運転資金家賃、通信費、広告費など営業継続に必要な支出

金額だけでなく「いつ支払うか」を見る

中古車販売では、在庫として車を持っている間、仕入れに使った資金は戻ってきません。

そこで、資金計画では、

いくら必要か
だけでなく、
そのお金をいつ支払い、いつ売上として戻せる見込みか

まで考えます。

たとえば説明用の仮定として、

  • 在庫3台
  • 1台の仕入代金60万円
  • 毎月の固定支出20万円
  • 売上入金がない期間を3か月想定

とすると、

車両仕入れ180万円+固定支出60万円=240万円

です。

これは開業資金の相場ではありません。物件契約費や設備費、その他の仕入関連費用も含まれていない、資金の考え方を理解するための仮定例です。

重要なのは、車を仕入れるお金に資金を使いすぎて、営業を続けるためのお金が不足しないかを見ることです。

「開業できる」と「事業として回る」は別に確認する

許可を取得でき、仕入れ資金を用意できても、それだけで事業として成立するとは限りません。

開業前に少なくとも、

  • 1台をいくらで仕入れる想定か
  • 1台販売したとき、どの程度の粗利を見込むか
  • 月に何台販売する計画か
  • 仕入れた車をどの程度の期間で販売する想定か
  • 毎月どの程度の固定費が出ていくか

を、自分の事業計画の数字で置いてみましょう。

「この在庫量と販売ペースで、次の仕入れ資金と固定費を回していけそうか」

まで確認できれば、単に「開業資金を用意した」という状態から一歩進めます。

中古車の仕入れ先は「どこから買うか」と利用条件を確認する

中古車の仕入れ方法には、業者向けオートオークション、他の中古車事業者との取引、所有者からの買取りなどがあります。

仕入れ先を検討するときは、価格だけでなく、

  • 開業直後から利用できるか
  • どのような入会・取引条件があるか
  • 車両代以外に何がかかるか
  • 支払期限はいつか
  • 車両状態をどこまで確認できるか
  • 引取りや陸送をどうするか

まで確認しておくと、開業後の資金計画とつながります。

古物商許可が取れても、希望するオークションへすぐ入れるとは限らない

古物商許可を取得することと、民間のオートオークションへ入会できることは別の問題です。

たとえばUSSの現在の入会条件では、自動車を扱う古物商許可について取得後1年以上経過していること、常設の営業所を有し現に営業していることなどが条件に含まれています。販売業については展示場・ヤードも条件として示されています。

USSの入会条件を確認する

これはあくまでUSSの入会条件であり、すべてのオートオークションに共通する法定条件ではありません。

利用したい仕入れ先を早めに選び、その事業者の最新の入会条件と、自分の開業時期・営業場所を照合しておきましょう。

中古車販売の営業開始前に、買取りから登録・納車までの流れを作る

許可、場所、資金、仕入れ先を確認したら、実際の営業を想定します。

中古車を1台仕入れ、販売し、納車するまでを一度通してみましょう。

買取時の相手方確認と取引記録を準備する

古物営業では、取引内容に応じて相手方確認や取引記録が必要になります。

特にネットや電話などの非対面で古物を買い取る場合、本人確認方法を事前に決めておく必要があります。

警視庁・大阪府警は、運転免許証等のコピーを送ってもらうだけでは、法令上の確認として不十分と案内しています。

非対面取引における確認方法(警視庁)

買取りを行うなら、

  • 誰が本人確認をするか
  • どの方法で確認するか
  • 取引記録をどこで管理するか

まで開業前に決めておきましょう。

ネット販売では古物商としての表示も確認する

インターネットを利用した古物取引では、許可を受けた公安委員会名、許可証番号、氏名または名称の表示が必要になります。個人許可の場合は、本人の氏名に代えて営業所名だけを掲載することは認められていません。

古物商許可申請をされる方へ(警視庁)

また、インターネットで消費者へ販売する場合は、特定商取引法上の通信販売に関する表示も確認します。消費者庁は販売価格、支払時期・方法、商品の引渡時期、返品等、事業者情報などを表示事項として案内しています。

通信販売の表示ルールを確認する(消費者庁)

販売後の登録・名義変更まで担当を決める

中古車販売では、契約が終わればそのまま納車できるとは限りません。

登録自動車で所有者の名義が変わる場合は移転登録の手続きがあります。国土交通省も、所有者の名義が変わった場合には移転登録を行うよう案内しています。

名義変更時の自動車登録手続を確認する(国土交通省)

さらに、移転登録で使用の本拠の位置が変わる場合は、自動車保管場所証明が必要になるケースがあります。ただし、使用の本拠によって証明書が不要な地域もあります。

自動車の保管場所証明申請を確認する(警察庁)

この記事では登録手続きの詳細までは扱いませんが、開業準備として、

「販売契約後の登録・名義変更を誰が担当し、どこまで自社で対応するか」

は決めておきましょう。

1台を販売する流れを並べる

開業前に、次の流れを自分の事業へ当てはめます。

  1. 車を仕入れる
  2. 車両の状態を確認する
  3. 販売価格を決める
  4. 商品を掲載する
  5. 問い合わせを受ける
  6. 商談・契約する
  7. 必要な整備等を行う
  8. 登録・名義変更等を進める
  9. 納車する
  10. 購入後の問い合わせに対応する

各工程について、

誰が担当するのか
自社で行わないなら誰へ依頼するのか

を決めてみてください。

担当者や依頼先が決まっていない部分があれば、そこが開業前に埋めるべき課題です。

中古車販売の開業準備を7ステップで整理する

ここまでを開業準備の流れへまとめると、次のようになります。

段階主に確認すること
1.販売モデルを決める在庫型・注文販売、店舗・自宅、個人・法人、自社で行う業務
2.営業場所と仕入れ先候補を確認する営業所、車両保管場所、物件条件、仕入れ先の入会条件
3.必要な許認可を確認する古物商許可、必要に応じて追加の登録・許可・認証
4.資金と採算を試算する開業資金、仕入資金、運転資金、販売台数、在庫期間
5.申請と営業準備を進める書類収集、許可申請、仕入れ先・外注先・販売環境
6.実際の販売体制を整える本人確認、記録、ネット表示、整備、登録・納車
7.1台売る流れを通して確認する仕入れから納車・購入後対応まで抜けがないか確認

これは法令上の唯一の順序ではありません。

物件の確認、資金計画、仕入れ先候補の調査などは並行して進められます。

大切なのは、一つだけ先に確定させた結果、ほかの条件と合わなくなることを避けることです。

個人事業で中古車販売を始める場合の開業届と青色申告

許認可とは別に、個人事業として開業する場合は税務上の手続きもあります。

現在の国税庁の案内では、「個人事業の開業・廃業等届出書」は、開業した年分の所得税の確定申告期限までに提出します。

一方、「所得税の青色申告承認申請書」は別の期限です。原則は青色申告をしようとする年の3月15日までで、その年の1月16日以後に新規開業した場合は、業務を開始した日から2か月以内です。

開業時に必要な税務手続きを確認する(国税庁)

「開業届の期限に間に合えばよい」と考えず、自分が利用したい制度ごとに期限を確認しましょう。

最初の一歩は「販売方法・場所・仕入れ・資金」を1枚にまとめること

中古車販売を始めたいと思ったら、いきなりすべての書類を集め始める必要はありません。

まずは、次の内容を1枚のメモへまとめてみてください。

販売方法

  • 在庫販売か注文販売中心か
  • 買取りも行うか
  • ネット販売を行うか

営業場所

  • 営業所候補はどこか
  • 車両はどこへ保管するか
  • 商談・納車はどこで行うか

事業範囲

  • 中古車販売・買取りだけか
  • 使用済自動車の引取りも行うか
  • 整備を自社で行うか

仕入れ

  • どこから仕入れる予定か
  • その仕入れ先を開業時点で利用できるか
  • 利用できない場合の代替ルートはあるか

資金

  • 開業前にいくら支払うか
  • 仕入れにいくら使うか
  • 売れるまで営業を続ける資金をいくら残すか
  • どの程度の販売ペースを想定するか

ここまで決めると、誰に何を確認すればよいかも見えてきます。

営業所や古物商許可は管轄警察へ、物件の使用条件は貸主・管理会社へ、仕入れ条件は利用予定事業者へ、登録手続きは車種や取引条件に応じた窓口へ確認できます。

古物商許可の申請を自分で進めるか、行政書士へ依頼するか

ここまで整理できれば、自分で公式案内を確認して申請準備へ進むこともできます。

一方、

  • 営業所の条件を整理しながら申請書類を準備したい
  • 個人・法人のどちらで進めるかも含めて整理したい
  • 書類作成や警察署への申請準備に時間をかけにくい
  • 古物商許可以外の許認可も合わせて整理したい

という場合は、行政書士へ書類作成や申請支援を依頼する方法があります。

サクセスファン行政書士事務所では、古物商許可について書類作成と代理申請のサービスを案内しています。現在の具体的なサービス内容・料金・対応方法は、依頼前に公式ページで確認してください。

古物商許可サポートの内容・料金を確認する

中古車販売の開業は、古物商許可を取得することだけがゴールではありません。

営業場所・許認可・資金・仕入れ・販売・登録・納車までがつながり、実際に1台を仕入れて販売できる状態を作ることが開業準備です。

まずは自分の販売方法を書き出し、その計画でまだ決まっていない部分から、一つずつ確認していきましょう。