「中古品を売るなら、古物商許可が必要らしい」
そう聞いて調べ始めたものの、
- そもそも古物商許可とは何のための許可なのか
- 中古品を売れば、誰でも許可が必要なのか
- 「古物」「古物営業」「古物商」は何が違うのか
- メルカリやネット販売でも関係するのか
と、制度の入口から分かりにくく感じる方もいるでしょう。

行政書士の小野馨(おの かおる)です。
行政書士として20年、古物商許可の申請や開業に関する支援にも携わってきました。
古物商許可とは、古物営業法上の「古物商」として、古物の売買・交換などの対象となる営業を行うために受ける公安委員会の許可です。
ここで最初に押さえておきたいのが、
「物が古物に当たること」と「その取引に古物商許可が必要なこと」は別の問題
という点です。
この記事では、必要書類や申請方法へ進む前に、まず理解しておきたい古物商許可という制度の基本と仕組みを、初めての方にも分かるように整理します。
この記事のポイント
- 古物商許可は「中古品を扱うための資格試験」ではなく、対象となる古物営業を行うための許可
- 法律上の「古物」は、日常語の「中古品」と完全に同じ意味ではない
- 古物を売っただけで、すべての場合に古物商許可が必要になるわけではない
- 制度を理解したら、次に「自分の取引に許可が必要か」を確認すると分かりやすい
古物商許可とは?まず4つの言葉を整理しよう
古物商許可を理解しようとすると、「古物」「古物営業」「古物商」など似た言葉が一度に出てきます。
まずは、この4つの関係を整理すると分かりやすくなります。
| 言葉 | まず押さえたい意味 |
|---|---|
| 古物 | 古物営業法で定められている物品 |
| 古物営業 | 古物の売買・交換など、法律で定められている営業 |
| 古物商 | 公安委員会の許可を受けて、対象となる古物営業を営む者 |
| 古物商許可 | 古物商として対象となる営業を行うために受ける許可 |
大きな流れとしては、
古物
↓
古物を扱う一定の営業
↓
公安委員会の許可を受ける
↓
古物商として営業する
と考えると整理しやすいでしょう。
なお、古物営業法上の「古物営業」には、一般に古物商と呼ばれる営業だけでなく、古物市場を経営する営業や、一定の方法で古物の売買をあっせんする営業も定められています。
古物営業の3つの種類や、それぞれと古物商・古物商許可との関係を詳しく知りたい方は、
古物営業とは?種類や古物商・古物商許可との関係をわかりやすく解説
をご覧ください。
制度そのものを公式情報で確認したい場合は、警察庁の「古物営業・質屋営業について」も確認できます。
法律上の「古物」は、単なる中古品とは少し違う

日常会話で「古物」と聞くと、誰かが使った中古品をイメージするかもしれません。
しかし、古物営業法上の「古物」は、それより少し広い概念です。
大きく分けると、
- 一度使用された物品
- 使用されていなくても、使用する目的でいったん取引された物品
- これらに幾分の手入れをした物品
などが古物に含まれます。
そのため、
「未使用品だから古物ではない」とは限りません。
たとえば、使用する目的で購入したものの、一度も使用しないまま別の人へ渡った物でも、古物営業法上の「古物」に該当することがあります。
ここでは「古物商許可を理解するための前提」まで押さえれば十分です。
法律上の古物の意味や中古品との違いを詳しく確認したい方は、
古物とは?古物営業法上の意味と中古品との違いをわかりやすく解説
をご覧ください。
なぜ古物商には許可制度があるのか
「なぜ普通の商品販売とは違って、古物には公安委員会の許可制度があるのだろう?」
この理由が分かると、その後に出てくる本人確認や取引記録などのルールも理解しやすくなります。
古物営業法は、盗品などの売買を防止し、速やかな発見を図るために古物営業へ必要な規制を設け、窃盗その他の犯罪の防止や被害の迅速な回復につなげることを目的としています。
そのため、古物商には取引内容に応じて、
- 取引相手を確認する
- 取引内容を記録する
- 不正品の疑いがある場合に警察へ申告する
といったルールが設けられています。
つまり古物商許可は、
「中古品を売ってもよいことを証明する資格」
というより、
ココがポイント
古物の流通を適正に管理する仕組みの中で営業するための許可
と考えると、制度の意味を理解しやすくなります。
「古物を売ること」と「古物商許可が必要なこと」は同じではない
ここが、古物商許可を理解するうえで最も重要なポイントの一つです。
ココがポイント
古物に該当する物を売ったからといって、それだけですべての人に古物商許可が必要になるわけではありません。
古物営業法では、古物を売却することだけを行うものなどは、古物の売買等を行う「古物営業」から除かれています。
そのため、「古物を売った」という事実だけで許可の必要・不要は決まりません。
考えるときは、次の2つを分けます。
① その物が古物営業法上の「古物」に当たるか
② その取引が、許可を受ける必要がある「古物営業」に当たるか
この2つを分けると、「中古品を売ったら全部許可が必要なの?」という疑問を整理しやすくなります。
| ケース | まずの考え方 |
|---|---|
| 自分で使っていた物を売る | 売却するだけであれば古物商許可は不要 |
| 国内で他人から古物を買い取り・仕入れ、再販売する | 古物商許可が必要となる典型的なケース |
| メルカリ・ネットで取引する | サービス名ではなく、物の取得方法や取引内容を見る |
自分で使っていた物を売る場合
たとえば、自分で使っていた洋服、家具、家電などが不要になり、売却するケースです。
自分で使用していた物や、自分で使用するために購入したものの未使用だった物を売却するだけであれば、古物商許可は不要とされています。
ここで大切なのは、
ココに注意
売る物自体が法律上の「古物」に当たる場合でも、その売却について古物商許可が必要とは限らない
という点です。
つまり、
「この商品は古物ですか?」
と、
「この取引に古物商許可は必要ですか?」
は、似ているようで別の質問です。
販売するために古物を仕入れる場合
一方、自分で使用するためではなく、国内で他人から古物を買い取り・仕入れ、それを販売する営業は、古物商許可が必要となる典型的なケースです。
ここで見るべきなのは、単に「中古品を売るかどうか」ではありません。
- 何を扱うのか
- どのように取得するのか
- どのような売買を行うのか
といった実際の取引内容です。
この記事では、制度の仕組みを理解するところまでに留めます。
自分の取引に古物商許可が必要なのかを具体的に確認したい方は、
古物商許可が必要な取引・不要な取引の境界線
で詳しく確認してください。

まず「その物が法律上の古物か」、次に「自分がしようとしている取引が許可の対象となる古物営業か」と分けて考えると整理しやすくなります。
メルカリやネット販売でも、サービス名ではなく取引内容を見る
メルカリ、ネットオークション、ECサイトなどを利用する場合も同じです。
「ネットだから古物商許可はいらない」
あるいは、
「メルカリで売るなら古物商許可が必要」
と、サービス名や販売場所だけで一律に判断するものではありません。
まず確認したいのは、
- 何を扱うのか
- その物をどう取得したのか
- どのような取引を行うのか
です。
店舗で売るか、インターネットで売るかは営業方法の違いの一つですが、それだけで古物商許可の必要・不要が決まるわけではありません。
また、古物商としてインターネットオークションやフリマアプリなどを利用して古物を買い受ける場合も、古物営業法上の相手方確認などのルールが関係します。
非対面取引では、法令で定められた確認方法を用いる必要があります。
したがって、
ネット上の取引だから古物営業法と無関係になるわけではない
ことも押さえておきましょう。
具体的な非対面取引の確認方法は、営業所所在地を管轄する都道府県警察の最新案内も確認してください。
古物商許可は「取ったら終わり」の制度ではない
初めて古物商許可を調べると、どうしても「どうすれば許可を取れるか」に意識が向きます。
しかし、古物商許可は許可証を受け取った時点ですべて終わる制度ではありません。
古物商には営業開始後も、取引内容などに応じて、
- 営業所等に管理者を置く
- 古物を買い受ける際などに相手方を確認する
- 必要な取引内容を帳簿等へ記載・保存する
- 不正品の疑いがある場合に警察へ申告する
などのルールがあります。
それぞれには条件や例外があるため、このページですべて覚える必要はありません。
ここで持ち帰ってほしいのは、
古物商許可とは、許可証を取得するだけの手続ではなく、許可を受けた後も古物営業法のルールに沿って営業していく制度である
という点です。
制度が分かったら、次は自分に古物商許可が必要か確認しよう
ここまでをシンプルに整理すると、古物商許可とは、
古物営業法上の「古物商」として、古物の売買・交換などの対象となる営業を行うために受ける公安委員会の許可
です。
そして、
「物が古物か」
と
「その取引が許可の必要な古物営業か」
を分けて考えることが重要です。
制度の意味が分かったら、次は自分の現在地に合わせて進みましょう。
自分に古物商許可が必要か知りたい方
自分の仕入れ方・取得方法・売り方から、許可の必要性を詳しく確認できます。
すでに許可が必要と分かっていて、申請方法を知りたい方
申請準備から申請までの流れを確認できます。
古物商許可の全体像を確認したい方へ
許可が必要かの判断から、要件・申請・取得後・開業まで全体の流れを確認したい方は、総合ガイドをご覧ください。
▶ 古物商許可の総合ガイド|必要かの判断・要件・申請・取得後・開業まで
自分の取引に当てはめると判断が難しい場合は
古物商許可の制度そのものを理解しても、実際の事業へ当てはめると、
- この仕入れ方では許可が必要なのか
- 営業所や申請内容をどう整理すればよいのか
- ネット販売を含めて、どのような内容で申請すればよいのか
といった個別の問題が残ることがあります。
自分で整理できる場合は、まず該当する専門記事や警察の公式情報を確認しながら進めてください。
一方、自分の事業内容に当てはめると判断しにくい場合や、申請から事業開始まで含めて整理したい場合は、行政書士へ相談する方法もあります。
当事務所では、近畿を中心に、古物商許可の申請だけでなく、営業所や申請内容の確認、許可取得後の事業開始までを見据えてサポートしています。
相談する場合は、
- 何を扱う予定か
- どこから仕入れる予定か
- どのように販売する予定か
- 営業所をどこにする予定か
- 個人・法人のどちらで始める予定か
を整理しておくと、自分の場合に何を確認すべきかが見えやすくなります。
自分で申請するか、行政書士への依頼を検討するか迷っている方は、
古物商許可の代行は頼むべき?どこまで任せられるか・費用・自力申請との違い
も参考にしてください。
古物商許可の取得を検討している方は、申請サポートの内容もご確認ください。



