古物商をやめることになり、「廃業届はどこへ出せばいい?」「古物商許可証はどうすればいい?」と迷っていないでしょうか。
古物営業そのものを廃止する場合は、古物商許可証の返納が必要です。返納は、返納事由が発生した日から10日以内に行い、基本的には「返納理由書」と許可証を提出します。古物営業の廃止を理由として返納すると、その古物商許可は効力を失います。
ただし、店舗を閉めるケースがすべて許可証返納になるわけではありません。
最初に確認したいのは、
古物営業そのものを全部やめるのか、それとも一部の営業所だけを閉じる・移転するなどの変更なのか
という点です。
ここを先に整理すれば、必要のない返納をしたり、本来必要な変更届を見落としたりするのを防ぎやすくなります。
この記事のポイント
| 確認事項 | まず押さえること |
|---|---|
| 古物営業を全部やめる | 許可証の返納を確認 |
| 一部の営業所だけ閉める | 変更届出を確認 |
| 返納期限 | 返納事由の発生日から10日以内 |
| 基本的な提出物 | 返納理由書+古物商許可証 |
| 提出先 | 主たる営業所等の所轄警察署を確認 |
| 許可証をなくしている | 自己判断せず所轄警察署へ確認 |
| 郵送・オンライン | 管轄する警察の最新案内を確認 |
この記事では、税務署への廃業届や会社の解散手続き全般ではなく、古物商許可を終了するときに何を確認し、どの順番で進めればよいかに絞って解説します。
古物商を完全に廃業するなら許可証を返納する
古物営業法第8条では、許可証の交付を受けた者が古物営業を廃止した場合、許可証を主たる営業所または古物市場の所在地を管轄する公安委員会へ返納することが定められています。
古物営業を廃止したことによる返納が行われると、その許可は効力を失います。
一般には「古物商の廃業届」と考える方もいるでしょう。
ただ、古物営業法上、廃業時に使用する様式として確認するのは、**「返納理由書(古物営業法施行規則別記様式第9号)」**です。現行様式にも返納理由として「古物営業を廃止した」という項目があります。
そのため、書類を探す前に、
「自分は本当に古物営業そのものを終了するのか」
を確認することが第一歩です。
なお、「しばらく営業しないだけで、将来は再開するかもしれない」という場合も、安易に返納しない方がよいでしょう。廃業を理由に返納すると許可そのものが失効するため、単なる一時的な休止と完全な廃業は分けて考える必要があります。
「全部やめる」のか「一部の営業所を閉める」のかを先に確認する
古物商の廃業で特に間違えやすいのが、この分岐です。
古物営業そのものを全部やめる場合
今後、許可を受けている古物営業そのものを行わないのであれば、許可証返納の手続きを確認します。
返納後は許可が効力を失うため、「当面使わないから念のため返しておく」という性質の手続きではありません。
一部の営業所だけを閉める場合
複数の営業所のうち1か所だけを閉鎖し、ほかの営業所では古物営業を続けるのであれば、古物営業全体の廃止とは異なります。
営業所の廃止は変更届出の対象で、現行の古物営業法施行規則では、事前届出に該当する変更は変更日の3日前までに届け出る仕組みです。大阪府警や警視庁も営業所の廃止を事前変更届の対象として案内しています。
つまり、
- 古物営業を全部やめる
- 一部の営業所だけ閉める
- 営業所を移転する
- 主たる営業所を変更する
では、同じ手続きになるとは限りません。
許可証を返す前に、「許可そのものを終わらせるのか、営業所等の変更なのか」を切り分けることが重要です。
許可証の返納は「返納事由が発生した日から10日以内」
古物商許可証の返納は、返納事由が発生した日から10日以内に行います。
提出は、主たる営業所または古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して行います。
10日はいつから数える?
ここで読者が迷いやすいのが、「返納事由が発生した日とはいつなのか」という点です。
古物営業を廃止する場合、返納理由書には、
返納理由の発生年月日
と
「古物営業を廃止した」
という返納理由を記載する形式になっています。
つまり、古物営業法上の10日の期限は、税務署へ廃業届を出した日などを機械的に基準にするのではなく、古物営業を廃止したという返納事由が発生した日を基準に確認します。
「自分の場合、どの日を廃止日として整理すればよいのか」が曖昧なら、返納理由書へ日付を書く前に所轄警察署へ確認すると安全です。
期限を軽く考えない
古物営業を廃止した本人について、古物営業法第8条第1項の許可証返納義務に違反した場合は、10万円以下の罰金を定める規定があります。
不安を感じる必要はありませんが、「期限を過ぎてもそのままでよい」と考えないことが大切です。
すでに10日を過ぎている場合も放置せず、所轄警察署へ事情を伝えて、どのように手続きを進めるか確認しましょう。
古物商を廃業するときの基本的な必要書類
許可証を返納するときの基本となる提出物は次の2点です。
| 提出物 | 内容 |
|---|---|
| 返納理由書 | 古物営業法施行規則別記様式第9号 |
| 古物商許可証 | 交付を受けている許可証 |
古物営業法施行規則第7条は、許可証とともに別記様式第9号の返納理由書を提出することを定めています。
警視庁の現行様式一覧でも、「返納理由書(廃業)」として別記様式第9号と記載例が公開されています。
ただし、個別事情によって管轄警察の案内を確認した方がよい場合があります。
たとえば警視庁では、URL届出をしていた人について、返納時の追加書類も案内しています。
したがって、「返納理由書と許可証を用意したから、全国どこでもこれだけで終わり」と決めつけず、提出前に所轄警察署の最新案内を一度確認するのが確実です。
どこの警察署へ出す?
返納は、主たる営業所または古物市場の所在地の所轄警察署長を経由して行います。
「許可を最初に取った警察署だから」「自宅から一番近い警察署だから」といった感覚だけで判断せず、現在の主たる営業所を基準に所轄を確認しましょう。
所轄や必要書類が分からない場合は、
- 都道府県警の古物営業ページを確認する
- 「許可証の返納」「返納届出」などの案内を探す
- 分からなければ主たる営業所の所轄警察署へ問い合わせる
という順番で確認すると進めやすくなります。
警視庁では、返納の届出場所と問い合わせ先を、主たる営業所等の所在地を管轄する警察署として案内しています。
返納方法は窓口だけとは限らない
返納方法を全国一律に「警察署へ持参するだけ」と考えない方がよいでしょう。
たとえば大阪府警では、古物商・古物市場主の許可証返納を郵送可能な対象手続として案内しています。ただし、郵送を希望する場合は事前に方法を問い合わせるよう求めており、書類に不備があれば警察署へ行く場合もあるとしています。
また、大阪府警・警視庁では、許可証返納がオンライン手続きの対象として掲載されています。
したがって、
「他県では郵送できたから、自分の地域でも同じだろう」
とは考えず、実際の管轄警察の案内を確認してください。
オンラインで手続きを開始できる場合も、手元にある許可証原本を具体的にどう扱うかまで含めて、管轄の案内に従うのが安全です。
許可証を紛失している場合はどうする?
「廃業しようと思ったら、古物商許可証が見当たらない」という場合もあります。
古物営業法では、通常、許可証を亡失・滅失した場合は、速やかに届け出て再交付を受ける仕組みがあります。
ただし、廃業のため返納しようとしている時点ですでに許可証を紛失している場合について、「必ずいったん再交付を受けてから返納する」と一律に判断するのは避けた方がよいでしょう。
大阪府警の返納理由書記載例では、返納すべき許可証が亡失等により返納できない場合、その理由を返納理由書の余白へ記載するよう案内しています。警視庁の事務処理規程にも同様の取扱いがあります。
したがって、許可証がない場合は、
- 古物営業を廃止すること
- 許可証を紛失していること
- 返納手続きを進めたいこと
を所轄警察署へ伝え、必要な処理を確認してください。
「許可証がないから返納しなくてよい」と放置しないことが重要です。
該当する人だけ確認したい特殊なケース
通常の本人による廃業ではありませんが、古物営業法では返納する人が別に定められている場合があります。
許可証の交付を受けた個人が死亡した場合は、同居の親族または法定代理人が返納します。
許可を受けた法人が合併によって消滅した場合は、合併後に存続する法人または合併によって設立された法人の代表者が返納します。
これらに該当する場合は、通常の本人廃業とは手続主体が違うため、所轄警察署へ確認して進めてください。
廃業時は帳簿や取引記録をすぐ処分しない
古物営業法第18条には、古物商等の帳簿・電磁的記録について保存期間が定められています。
一方で、許可証を返納して許可が失効した後の元古物商について、その保存義務がどのように残るかまで明示した公的説明は、今回確認した資料だけでは安全に断定できません。
そのため、**「廃業したから、帳簿や取引データはすぐ全部捨ててよい」**とは考えず、処分する前に所轄警察署へ確認しておくのが安全です。
この論点は許可証返納そのものとは別なので、返納手続きを止める必要はありません。
古物商許可の返納だけで事業全体の廃業手続きが終わるわけではない
古物商許可証の返納は、あくまで古物商許可を終了させるための手続きです。
個人事業の税務上の廃業手続き、法人の解散・清算、社会保険その他の事業終了手続きまで、一緒に終わるわけではありません。
そのため、
古物商許可を終わらせる手続き
と
事業そのものを終わらせる手続き
は分けて整理してください。
この記事では古物商許可の返納に集中し、それ以外は事業形態に応じて別途確認するのが分かりやすい進め方です。
古物商を廃業するときは、この順番で進める
迷った場合は、次の順番で整理してください。
- 古物営業を全部やめるのか確認する
一部の営業所だけを閉める場合は、返納ではなく変更届出を確認します。 - 古物営業を廃止した日を整理する
返納期限を判断するため、「返納理由の発生年月日」を確認します。 - 10日以内の返納期限を確認する
期限を過ぎている場合も放置せず、所轄警察署へ確認します。 - 返納理由書と許可証を準備する
個別事情による追加書類がないか管轄の最新案内も確認します。 - 主たる営業所の所轄警察署を確認する
- 窓口・郵送・オンラインなど提出方法を確認する
- 紛失など通常と違う事情があれば、提出前に確認する
この順番で考えると、いきなり書類を集めるよりも手戻りを減らしやすくなります。
古物商の廃業についてよくある質問
古物商の廃業では「廃業届」を出すのですか?
古物営業そのものを廃止するときは、許可証の返納を行い、**返納理由書(別記様式第9号)**を提出します。
一般に「古物商の廃業届」と表現されることがありますが、実際の手続きでは「返納理由書」という正式な様式名を確認すると迷いにくくなります。
古物商許可証はいつまでに返納しますか?
返納事由が発生した日から10日以内です。
古物営業を廃止する場合は、その廃止という返納理由が発生した日を基準に確認します。
一店舗だけ閉める場合も許可証を返しますか?
古物営業そのものを終了せず、一部の営業所だけを廃止する場合は、許可証返納ではなく変更届出を確認します。
営業所廃止の事前変更届は、変更日の3日前までとされています。
許可証をなくしていても廃業できますか?
許可証が見当たらないからといって、返納手続き自体を放置しないでください。
大阪府警や警視庁には、返納すべき許可証を亡失等で提出できない場合の取扱いが示されています。具体的な進め方は所轄警察署へ確認してください。
10日を過ぎてしまったら、もう返納できませんか?
期限を過ぎたことを理由にそのまま放置するのは避けてください。
本人による許可証返納義務違反には罰則規定があります。遅れていることに気づいた段階で所轄警察署へ連絡し、事情を伝えて手続きを確認しましょう。
古物商の廃業は「返納か変更か」の確認から始める
古物営業そのものを完全にやめるのであれば、古物商許可証の返納を確認します。
返納は、返納事由が発生した日から10日以内。基本となる提出物は、返納理由書と古物商許可証です。
ただし、一部の営業所だけを閉めるのであれば、変更届出の問題になります。
最初に確認することは、
「自分は古物商許可そのものを終わらせるのか。それとも営業内容の一部が変わるだけなのか」
です。
ここが整理できれば、次に確認する期限・書類・提出先も見えやすくなります。
通常の廃業で必要事項が整理できるなら、所轄警察署の公式案内を確認しながら自分で手続きを進めることもできます。
一方で、
- 返納か変更届か判断しにくい
- 複数の営業所がある
- 許可証を紛失している
- 個人・法人の切替えなど別の手続きも絡む
- 書類や警察署との手続き整理に時間をかけたくない
といった場合は、まず警察署へ制度上の取扱いを確認し、必要に応じて古物商手続きに対応する行政書士へ相談する方法もあります。
専門家へ依頼するときは、古物商の廃業・許可証返納について、どこまで対応できるのか、料金や対応地域を確認してから依頼すると判断しやすいでしょう。

