
こんにちは
行政書士の小野馨です。
開業20年以上・実績5000件以上の経験から、
今回は「個人が古物商許可を取るメリット・デメリット」についてお話しします。
ココがポイント
結論から言うと、あなたが本気で稼ぎたいなら、古物商許可は「最強の投資」になります。
単なる「逮捕されないための免許」だと思っていませんか?
それは大きな間違いです。
この許可証は、プロだけが立ち入れる「利益の源泉」への通行手形であり、あなたを「転売ヤー」から「社会的信用のある経営者」へと進化させる魔法の杖なのです。
今からそのお話をします。
■この記事のポイント
- 秘密の仕入れルート「古物市場」への参加権が得られる
- 「転売ヤー」卒業。銀行や世間からの信用が劇的に変わる
- アカウント停止の恐怖から解放される「最強の保険」になる
- 面倒な義務こそが、あなたを本物の経営者に育てる(後編)
個人でも古物商許可を取るべき3つのメリット・理由
ポイント
古物商許可を取得するメリットとは、一言で言えば「プロフェッショナルとしての特権階級入り」を果たすことです。
多くの人は「警察に捕まりたくないから」という消極的な理由で申請します。
もちろんそれも重要ですが、それ以上に「攻めのメリット」が凄まじいのです。
19,000円の手数料など、一瞬で回収できるほどの「3つの特権」について、現場の裏話を交えて解説しましょう。
秘密の仕入れルート「古物市場」への参加権
もし、あなたが現在、リサイクルショップのワゴンセールや、メルカリの値下げ交渉で仕入れをしているなら、ハッキリ言います。あなたは「カモ」にされています。
なぜなら、そこは「一般消費者向けの価格(高い値段)」で売られている場所だからです。
古物商許可を取ると、「古物市場(こぶついちば)」という、一般人が絶対に立ち入れないプロ専用のオークション会場に参加する資格が得られます。
ここがまさに、我々プロにとっての「秘密の宝の山」なのです。
想像してみてください。あなたが普段1万円で仕入れているブランドバッグが、ここでは山積みで千円、二千円で取引されています。
「競り(せり)」と呼ばれる独特の符丁が飛び交う会場では、リサイクルショップの店長たちが、店頭に並べる商品を「業者価格(原価)」で大量に仕入れています。
つまり、あなたが普段店で買っている値段の「3分の1以下」で物が買える場所、それが古物市場です。
私のクライアントのAさん(30代男性・副業)の事例をお話ししましょう。
彼は許可を取る前、週末に何店舗もリサイクルショップを回って(いわゆる店舗せどり)、足を使ってようやく利益3万円を稼いでいました。ガソリン代も時間もかかり、疲弊していました。
しかし、許可を取得して地元の古物市場に参加した途端、世界が変わりました。
ポイント
たった半日、市場の椅子に座っているだけで、ダンボール3箱分の家電や雑貨を激安で落札。
それをネットで売るだけで、初月から利益が10万円を超えたのです。
「先生、今まで自分は何をやっていたんでしょうか…」とAさんが呟いた言葉が忘れられません。
情報の非対称性こそが利益の源泉です。
許可証一枚で、あなたも「仕入れられる側」から「仕掛ける側」へと回ることができる。
これこそが最大のメリットです。
社会的信用の獲得とプラットフォーム対策
近年、Amazonやメルカリなどのプラットフォームは、転売行為に対する規制を急速に強めています。あなたも聞いたことがあるでしょう。
「真贋調査(しんがんちょうさ)」や「アカウント停止祭り」の恐怖を。
ある日突然、Amazonからメールが届きます。
「あなたの出品した商品に偽造品の疑いがあります。
正規品であることを証明する請求書を提出してください。
提出できない場合、アカウントを閉鎖し、売上金は没収します」
この時、単なる個人の転売ヤーだと手も足も出ません。
注意ポイント
リサイクルショップのレシートでは証明能力が弱く、アカウントは永久BAN。数百万円の売上金が凍結され、倒産した人を私は何人も見てきました。
しかし、古物商許可を持っていれば話は別です。
「私は公安委員会の許可を受けた正規の古物商です。許可番号は〇〇号。古物台帳に基づき、適法に本人確認を行って仕入れています」
このように主張し、許可証の写しを提出することで、プラットフォーム側の対応は劇的に変わります。「どこの誰かわからない不審なセラー」から、「国の審査を通った信頼できるビジネスパートナー」へと格上げされるのです。
また、この「信用」は銀行融資でも絶大な効果を発揮します。
ポイント
創業融資を申し込む際、「副業で転売やってます」と言うと銀行員は渋い顔をしますが、「古物商許可を取得し、リユース事業を行っています」と言えば、「事業実態がある」と判断されやすくなります。
許可証は、あなたのビジネスを守る「最強の盾」であり、社会的なステータスを証明する「印籠」なのです。
堂々と節税!経費計上と青色申告の道
3つ目のメリットは、お金(税金)の話です。
古物商許可を取るということは、税務署に対しても「私はこれを事業としてやっています」という強力なアピールになります。
多くの副業セラーが「雑所得」として処理し、経費もあまり認められずに高い税金を払っています。
しかし、許可を取って開業届を出し、「事業所得」として認められれば、世界が変わります。
家賃の一部、電気代、スマホ代、パソコン代、そして仕入れのための交通費やガソリン代。これらを堂々と「経費」として計上できるようになります。
以下の表を見てください。「ただの個人」と「許可持ち個人事業主」の差は歴然です。
| 項目 | 許可なし(雑所得・趣味) | 許可あり(事業所得・プロ) |
|---|---|---|
| 経費の範囲 | 直接要した費用のみ (売れた商品の仕入れ値など) | 幅広い経費が認められる (家賃按分、PC、交際費等) |
| 青色申告控除 | なし(0円) | 最大65万円の控除 |
| 赤字の繰越 | 不可(その年で切り捨て) | 3年間繰り越せる (将来の黒字と相殺可能) |
特に大きいのが「青色申告特別控除(最大65万円)」です。
これは、売上から経費を引いた利益から、さらに65万円を「なかったこと(非課税)」にしてくれる制度です。税率が20%だとしたら、これだけで年間13万円の節税です。10年続ければ130万円。
古物商許可の手数料19,000円なんて、この節税効果の前では誤差のようなものです。
「でも、帳簿をつけるのが難しそう…」
そう思いましたか?安心してください。
最近はfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使えば、銀行口座と連携して自動で帳簿を作ってくれます。
面倒くさがらずに「事業」として取り組む覚悟。
それさえあれば、手元に残るお金は確実に増えていくのです。
💡 メリットまとめ:あなたが手にする3つの武器
- ✅ 仕入れ革命: プロ専用市場で、原価での仕入れが可能になる。
- ✅ 信用爆増: アカウント停止リスク激減&銀行融資の対象に。
- ✅ 最強節税: 経費計上と青色申告で、手残りのキャッシュが増える。
これだけのメリットを捨ててまで、
無許可のリスクを背負い続けますか?
覚悟はいいか?許可の裏にあるデメリット
ポイント
光があれば、必ず影があります。古物商許可という強力な武器を手にする以上、あなたには法的な「義務」と「責任」が課せられます。
「メリットばかり聞いて申請したけど、こんなに面倒だとは思わなかった…」
そんな後悔をしてほしくありません。
ここからは、多くのコンサルタントが口を濁す「面倒な現実」にスポットライトを当てます。
しかし恐れる必要はありません。これらはすべて、対策を知っていれば十分にコントロール可能なリスクです。
警察の立ち入り検査?「三大義務」の真実
古物商許可を取得した瞬間から、あなたは一般市民ではなく、警察の監督下にある「防犯の最前線」に立つことになります。そこで課せられるのが、古物営業法上の**「三大義務」**です。
- 本人確認義務(誰から買ったか?)
- 不正品申告義務(盗品じゃないか?)
- 帳簿記録義務(取引の記録)
特に皆さんが嫌がるのが、3つ目の「帳簿記録(台帳)」と、それをチェックするための「警察の立ち入り検査」です。
「えっ、警察が家に土足で入ってくるんですか!?」
ご安心ください。
ドラマのようなガサ入れではありません。年に一回あるかないか、担当の刑事が「最近どうですか~?」と世間話ついでにやってきて、「ちょっと台帳見せてね」と言われる程度です
(※地域や担当者によります)。事前に電話があることがほとんどです。
問題は、その時に台帳(エクセルでOK)が真っ白だった場合です。
「忙しくて書いてませんでした」は通用しません。最悪の場合、営業停止処分や許可取り消しになります。
ここだけの話ですが… 多くの個人事業主がここで挫折します。
しかし、逆に考えれば、日々の取引(品目、日付、相手の住所氏名、金額)さえエクセルに入力しておけば、警察はあなたの最強の味方になってくれるのです。
「面倒くさい」と感じるか、「これで身の潔白を証明できる」と感じるか。
それがプロとアマチュアの分かれ目です。
プライバシーの壁!住所公開のリスク
個人的に、これが最大のデメリットだと考えています。
それは「自宅住所の公開リスク」です。
古物商許可を取得すると、法令により以下の2箇所であなたの氏名(または屋号)と住所が公開される可能性があります。
- 公安委員会のホームページ: 各都道府県のHPにある「古物商URL届出一覧」等のPDFファイルに、許可番号とともに氏名・住所が掲載される場合があります(※自治体により掲載基準が異なります)。
- 自分の販売サイト: あなたがネットショップやAmazonストアを運営する場合、特定商取引法および古物営業法に基づき、許可番号と氏名をトップページ等に表示する義務があります。
自宅兼事務所で申請する場合、あなたの自宅住所がネット上に晒されることになります。
- 「ストーカー被害が怖い」
- 「家族に迷惑をかけたくない」
という方には、これは高いハードルです。
「じゃあ、バーチャルオフィス(住所貸し)を使えばいいのでは?」
いい質問です。
しかし、実は多くの警察署では、実体のないバーチャルオフィスでの古物商許可申請を認めていません。「盗品が持ち込まれた時、そこに誰もいなかったら困るから」というのが警察の理屈です。
ただし、最近は「個室があり、契約期間が長く、常駐に近い形態」であれば認める地域も増えてきています
(※完全に担当者の裁量によります)。
どうしても自宅住所を出したくない場合は、実家を営業所にするか、月数万円払ってでも格安のレンタルオフィス(物理的な個室がある場所)を借りる覚悟が必要です。
ここはプライバシーとコストのトレードオフになります。
費用と時間の手間は「未来への投資」
最後に、コストの話です。
許可を取るには、警察への手数料「19,000円」のほか、住民票などの取得費がかかります。行政書士に頼めばさらに4~5万円。
そして、申請から許可が下りるまで「約40日(1ヶ月半)」という長い待ち時間が発生します。
「お金もかかるし、時間もかかる。やっぱり面倒だな…」
そう思いましたか? でも、ちょっと待ってください。
この「面倒くささ」こそが、実は最大のメリットなのです。
なぜなら、世の中の9割の人は面倒なことを嫌うからです。
「許可が必要」と聞いた瞬間に、ライバルの9割は脱落していきます。
つまり、この19,000円と40日間というハードルは、「本気じゃないライバルをふるい落とすための参入障壁」として機能しているのです。
誰でも今日から始められるビジネスは、すぐに飽和して稼げなくなります。
しかし、古物商のような「許認可ビジネス」は、入り口が狭い分、中に入ってしまえばライバルが少なく、長期的に安定して稼げる「聖域」となります。
この手間は、コストではなく「将来の独占利益を守るための防壁」への投資だと考えてください。
【決断サポート】あなたは許可を取るべきか?
A[スタート: 副業で稼ぎたい?] -->|Yes| B{転売・せどりをする?}
A -->|No| Z[許可不要] B -->|Yes| C{プライバシーのリスクは許容できる?}
B -->|No: 不用品処分のみ| Z
C -->|Yes: 自宅OK or オフィス借りる| D{事務作業(帳簿)はできる?}
C -->|No| E[許可取得は難しい
※リスク対策が必要] D -->|Yes: エクセル等で管理| F[★結論: 今すぐ許可を取るべき!] D -->|No| G[税理士等を雇うか覚悟を決める]
よくある質問(FAQ)
Q. 許可を取ったら、確定申告は必須になりますか?
A. 許可の有無に関わらず、副業所得(利益)が年間20万円を超えれば確定申告は必須です。むしろ許可を取って開業届を出し「青色申告」にした方が、65万円控除などの節税メリットが大きくなるため、手元に残るお金は増えます。
Q. 「古物プレート(標識)」は絶対に作らないといけませんか?
A. はい、絶対義務です。営業所(自宅など)の見える場所に紺色のプレートを掲示する義務があります。これはAmazonなどで3,000円程度で作れます。「家の中に掲示してもいいですか?」とよく聞かれますが、原則は「公衆から見える場所(玄関等)」です。ただし、マンション等で規約上難しい場合は、玄関の内側等でも許容されるケースがあります。
Q. 許可を取った後、商品を一つも売買しなかったらどうなりますか?
A. 正当な理由なく「6ヶ月以上」営業実態がない場合、許可を取り消される可能性があります(古物営業法第6条)。「とりあえず取っておく」のではなく、「取ったらすぐに活動する」のが鉄則です。
小野馨の予言:3年後のあなたへ
古物商許可という「パスポート」を手に入れた3年後、あなたの姿が私には見えます。
あなたはもう、リサイクルショップのワゴンセールを漁るだけの「転売ヤー」ではありません。
古物市場で堂々とプロと渡り合い、独自のルートで良質な商品を仕入れ、顧客から「あなたから買いたい」と信頼される、本物の「商人(あきんど)」になっています。
その時、最初に払った19,000円の手数料や、書類作成の苦労は、笑い話になっているはずです。
「あの時、勇気を出して申請して本当によかった」。
そう思える未来が、必ず待っています。
本記事の情報の信頼性と参照元について
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- 一次情報の重視: 省庁・自治体の最新の手引き・法令・ガイドライン
- 実務家の知見: 実務歴5年以上の国家資格者・専門家による事例
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■ 主な参照資料・根拠法令:
記事監修:行政書士 小野馨(兵庫県行政書士会所属 登録番号05300280号)

