【結論】古物商許可は個人と法人、どちらで取るべき?
将来的に会社設立(法人化)を視野に入れているなら、最初から「法人」で取得するのが正解です。
なぜなら、個人で取得した許可は法人に引き継ぐことができず、法人成りの際に「新規取り直し(手数料19,000円+再審査40日)」が発生するためです。

古物商許可実績1000件の行政書士の小野馨です。
今回は、多くの起業家が直面する「個人か、法人か」という究極の選択について、将来の損失を防ぐ視点で解説します。
「まずは個人事業主として小さく始めて、売上が上がったら法人化しよう」
多くの起業家が描くこのサクセスストーリーには、古物ビジネス特有の「落とし穴」が潜んでいます。
それは、個人事業が軌道に乗っていざ会社を作ろうとした瞬間、「今まで使っていた古物商許可証がただの紙切れになる」という事実です。
注意ポイント
古物営業法において、個人と法人は「別人格」とみなされるため、許可の引き継ぎ(名義変更)は一切認められていません。
つまり、法人成りをするタイミングで、再び膨大な書類を作成し、警察署の審査を受け直し、その間営業を停止しなければならないリスクがあるのです。
この記事では、行政書士として数多くの法人成りを支援してきた経験から、「二度手間を避けるための判断基準」と、「地域によって異なる審査のローカルルール」まで、教科書には載っていない実務の現場から徹底解説します。
⚠️ 警告:安易な「とりあえず個人」は、将来のあなたに「再申請の手間」と「営業停止期間」という負債を残します。数年後のビジョンから逆算して選択してください。
この記事でわかる4つのポイント
- ✅ 個人の許可は法人に引き継げない(=廃業&新規取得)
- ✅ 「定款」の目的条項に要注意!地域による審査の柔軟性の違い
- ✅ 個人から法人へ在庫を移す際の「売買契約」の必須知識
- ✅ 費用か信用か?あなたの事業フェーズに合わせた最適解
【結論】「とりあえず個人」は損をする?許可の引き継ぎはできません
起業相談において、私が最も頻繁に直面する誤解の一つが、「個人で取った古物商許可は、そのまま法人にスライドできる」というものです。
残念ながら、古物営業法を含め、日本の許認可制度においてこの理屈は通用しません。
法律の世界では、生身の人間である「自然人(あなた個人)」と、法律によって人格を与えられた「法人(株式会社や合同会社)」は、全くの別人(別人格)として扱われます。
そのため、たとえ代表者が同じあなたであっても、個人から法人へ組織変更(法人成り)をするということは、許可の主体が別人に入れ替わることを意味するため、許可の「引き継ぎ」や「名義変更」は一切認められないのです。
💡 プロの直言
携帯電話の契約名義を変えるような手続きとは訳が違います。一度今の許可を「廃業」して返納し、全くゼロの状態から「新規申請」を行う。これが法人成りの現実です。
個人の許可は「法人成り」で消滅!もう一度19,000円が必要
では、具体的にどのような手続きとコストが発生するのか、シミュレーションしてみましょう。
あなたが個人事業主として古物商許可を取得し、順調に売上を伸ばして1年後に法人化したとします。
この時、あなたが手にしている個人の許可証は、法人の営業許可としては1秒たりとも使えません。
法人として営業を開始するためには、個人の許可証を警察署に返納(廃業届)し、新たに法人の許可申請を行う必要があります。
ここには、痛い出費と手間が発生します。
- 法定費用(証紙代)の二重払い:個人での申請時に19,000円を支払い、法人での再申請時にもう一度19,000円を支払うことになります。
合計38,000円。最初から法人で取っていれば19,000円で済んだはずのコストです。
- 行政書士報酬の二重払い:もし手続きを専門家に依頼していた場合、個人の申請報酬(相場4〜5万円)に加え、法人の申請報酬(相場5〜6万円)が再度発生します。
役所の手数料と合わせれば、トータルで10万円以上の「無駄金」が消えていく計算になります。
- 書類収集の手間とコスト:法人の申請には、個人の住民票や身分証明書に加え、法人の「登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」や「定款の写し」など、より多くの公的書類が必要になります。
これらを集めるために役所を回り、数百円単位の発行手数料を支払う手間も、決して無視できません。
「小さく産んで大きく育てる」のはビジネスの定石ですが、許認可ビジネスにおいては、「最初からゴール(法人)を見据えて申請する」ことこそが、最も賢いコスト削減策なのです。
番号も変わる?「書き換え」ではなく「新規取り直し」になる理由
「住所が変わっただけなら書き換えで済むのに、なぜ法人化だとダメなのか?」
この疑問を持つ方は多いでしょう。
古物商許可証には、12桁の固有の許可番号(第〇〇号)が記載されています。
住所移転や結婚による氏名変更の場合は、許可を受けている主体(あなた)が変わらないため、許可番号はそのままで、記載内容を変更する「書換申請(手数料1,500円)」で済みます。
しかし、法人成りの場合は「新規取得」となるため、許可番号そのものが新しい番号に変わります。
これが実務上、極めて厄介な問題を引き起こします。
例えば、Amazon、楽天、ヤフオク!、メルカリShopsなどのプラットフォームに出店している場合、古物商許可番号の登録・提出が義務付けられています。
法人化に伴って許可番号が変わるということは、これらのプラットフォームに対して、一から「出店審査」や「本人確認」をやり直さなければならないことを意味します。
特にAmazonなどの巨大プラットフォームでは、この審査に数週間かかることも珍しくありません。
その間、アカウントが一時停止されたり、販売制限がかかったりすれば、売上の機会損失は計り知れません。
また、自社サイトや名刺、パンフレットに記載している「古物商許可番号」もすべて刷り直し・修正が必要です。
「番号が変わる」という事実は、単なる行政手続きの問題を超えて、あなたのビジネスの信頼性や継続性に直結する重大なリスク要因なのです。
📷 画像挿入指示
推奨画像: 「個人の許可証」と「法人の許可証」が並べられ、許可番号が全く別物であることを強調する比較図。間に「継承不可(×)」の矢印。
生成用プロンプト: Illustration comparing two Japanese antique dealer licenses. Left one says "Personal Name" with ID 12345. Right one says "Corporate Name" with ID 98765. A red cross arrow indicates "No Transfer".
Alt属性: 古物商許可証 個人 法人 番号変更
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
「法人登記が終わった翌日から、法人の許可証がもらえる」と勘違いされている方がいますが、審査期間(標準処理期間)は約40日です。つまり、法人登記が完了しても、そこから警察に申請して許可が下りるまでの約1ヶ月半は、法人は古物営業ができません。この「空白期間」をどう乗り切るか考えずに法人化し、仕入れができずに困り果てる経営者が後を絶ちません。
📌 この章のポイント
- 個人から法人への「許可引き継ぎ」は法的・実務的に不可能。
- 法人成りすると、再度19,000円の手数料と審査期間(約40日)が必要になる。
- 許可番号が変わるため、ECサイト等の再審査や印刷物の修正コストが発生する。
[徹底比較] 個人許可 vs 法人許可!費用・信用・手続きの違い
「とりあえず安いから個人で」と判断する前に、まずは両者の決定的な違いを俯瞰してみましょう。
以下の表は、古物商許可における個人と法人のスペックを比較したものです。
| 比較項目 | 👤 個人許可 | 🏢 法人許可 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 約2万円 (申請手数料のみ) | 約26万円〜 (会社設立費用+申請手数料) |
| 申請の手間 | 比較的少ない。 住民票等は自分の分だけでOK。 | 多い。 定款作成、登記、全役員の書類が必要。 |
| 社会的信用 | 低い。 屋号だけでは実態が見えにくい。 | 高い。 大手BtoB取引や融資に有利。 |
| 許可の寿命 (事業承継) | 一代限り。 本人が死亡・引退すれば消滅。 | 永続的。 代表者が変わっても許可は継続可能。 |
初期費用は個人が圧勝だが、更新の手間は法人が楽?
まず、コスト面だけで見れば「個人」が圧倒的に有利です。
会社設立(株式会社)には登録免許税や公証人手数料などで最低でも約20〜24万円の法定費用がかかりますが、個人事業主なら開業届は0円、古物商の申請手数料19,000円だけでスタートできます。
「手持ち資金が少ない」「副業で小さく試したい」という方にとって、このハードルの低さは最大の魅力でしょう。
しかし、ここで注目すべきは「許可の寿命(ライセンスの永続性)」です。
建設業許可などと異なり、古物商許可には「5年ごとの更新」といった制度はありません(一度取れば原則ずっと有効)。
ですが、これはあくまで「許可を受けた主体が存在し続ける限り」の話です。
個人許可の場合、許可はその「人」に紐付いているため、もしあなたが病気で引退したり、亡くなったりした場合、その許可は消滅します。
息子や娘に事業を譲りたくても、許可の「相続」はできません。後継者はまた一から新規申請を行い、許可が下りるまでの40日間、店を閉めなければならないのです。
一方で法人許可の場合、許可は「会社」に紐付いています。
代表取締役が交代しても、警察署に「変更届(手数料不要)」を出すだけで、許可自体はそのまま継続して使い続けることができます。
M&Aで会社を売却する場合も、許可ごと譲渡することが可能です。
長い目で見れば、「一度取れば、人が変わっても使い続けられる」という点で、法人許可の方がメンテナンス性は高く、資産価値(のれん代)も生まれると言えるでしょう。
社会的信用と融資審査における「法人許可」の威力
古物ビジネス、特に「買取再販」や「BtoB卸売り」において、信用は命です。
ここで「法人許可」の威力が発揮されます。
まず、仕入れの要となる「古物市場(業者間オークション)」への参加資格です。
近年、ブランド品や宝飾品を扱う大手古物市場の中には、参加条件を「法人のみ(個人事業主お断り)」とする厳しい会場が増えています。
どれほど目利きに自信があっても、個人というだけで優良な仕入れルートから締め出されてしまうリスクがあるのです。
次に、「銀行融資」の壁です。
古物商は「在庫ビジネス」であり、事業拡大には仕入れ資金の確保が欠かせません。
銀行や信用金庫は、個人事業主への融資には極めて慎重ですが、法人化しており、かつ決算書(貸借対照表)を作成している会社に対しては、融資のハードルが下がります。
特に、創業融資(日本政策金融公庫)を受ける際、「法人設立」と「古物商許可」がセットになっていると、「計画性のある本格的な事業」として評価されやすくなります。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
最近増えているのが、「大手の買取フランチャイズ(FC)」に加盟して独立するケースです。この際、FC本部によっては「法人契約必須」を条件にしているところがあります。個人で許可を取って準備していたのに、契約直前で「法人化してください」と言われ、慌てて会社設立と許可の取り直しに追われる…という悲劇を何度も見てきました。加盟予定のFCがあるなら、契約条件を必ず先に確認してください。
【判断基準】売上〇〇万円を目指すなら最初から「法人」
では、具体的な数字で判断ラインを引きましょう。
行政書士として、また経営コンサルタント的な視点から、私が推奨するボーダーラインは以下の通りです。
- 年商(売上)1,000万円以上:消費税の課税事業者となるラインです。この規模になると、税務上のメリットだけでなく、対外的な取引規模も大きくなるため、法人化の恩恵がコストを上回ります。
- 年間利益(所得)800万円以上:個人の所得税率が法人税率を上回り始める分岐点です。節税のために法人化(法人成り)を検討する方が激増するタイミングですが、ここで「古物商許可の取り直し問題」が直撃します。
もしあなたの事業計画が、「1〜2年以内に年商1,000万円、利益800万円を超える」という強気なものであるなら、今の段階で多少無理をしてでも、最初から法人で許可を取るべきです。
逆に、「副業で月5〜10万円稼げればいい」「まずは小さくテストしたい」というレベルであれば、個人のままで十分です。
重要なのは、「とりあえず」ではなく、「2年後の自分はどうなっていたいか?」というビジョンから逆算して決めることです。
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推奨画像: グラフを使った分岐点の図解。横軸に「年数」、縦軸に「利益」。利益800万円のラインで「法人化(許可取り直し発生)」の壁が立ちはだかるイメージ。
生成用プロンプト: Business growth chart. X-axis: Years, Y-axis: Profit. A line crosses the 8 million yen mark. At the crossing point, a warning sign says "Incorporation & License Reset".
Alt属性: 古物商許可 法人化 タイミング
📌 この章のポイント
- 個人は「安いが一代限り」、法人は「高いが永続的で信用が高い」。
- 大手古物市場やFC加盟では「法人限定」のケースが増えている。
- 「2年以内に利益800万」を目指すなら、最初から法人化しないと後で損をする。
承知いたしました。 それでは、法人申請において最もトラブルが起きやすく、かつ地域ごとのローカルルールが激しく交錯する難所、**「H2:【法人の罠】申請前に絶対確認!「定款」と「役員」の落とし穴」**の執筆を行います。
ここでは、教科書通りの「原則」だけでなく、ご指摘いただいた大阪府警などの「柔軟な運用(例外)」にも触れ、実務家としての情報の深みを持たせます。
【法人の罠】申請前に絶対確認!「定款」と「役員」の落とし穴
個人から法人へ切り替える際、あるいは新規で法人を設立して許可を取る際、多くの経営者が躓くのが「書類の整合性」です。
個人の申請では「誓約書」や「住民票」だけで済みましたが、法人の場合は会社の憲法である「定款(ていかん)」や、会社の履歴書である「登記簿(履歴事項全部証明書)」の内容まで、警察の厳しいチェックが入ります。
ここで一文字でも不備があれば、申請は受理されず、法務局での修正登記(登録免許税3万円〜)を余儀なくされます。
まさに「一文字のミスが数万円の損失」に直結する世界です。
定款の「事業目的」にこの文言がないと即却下される
法人として古物商許可を申請するための絶対条件。それは、会社の「事業目的」に「古物営業を行う」旨が明記されていることです。
警察署の担当官は、提出された法人の登記簿を見て、「この会社は、法律上古物営業を行う権限を持っているか?」を確認します。
もし、事業目的に一般的な「物品の販売」や「輸出入業」としか書かれておらず、古物に関する記述がなければ、「定款の目的外行為」とみなされ、申請は門前払いされます。
具体的には、以下のいずれかの文言が入っている必要があります。
- ✅ 古物営業法に基づく古物商
- ✅ 古物書籍の売買(※特定の商品に限定する場合)
- ✅ 中古自動車の買取及び販売
- ✅ 前各号に付帯関連する一切の事業
これから会社を作る場合は、最初からこの文言を入れておけば0円で済みます。
しかし、既存の会社でこの文言が入っていない場合、株主総会を開いて定款変更決議を行い、法務局で変更登記申請をする必要があります。
これには登録免許税30,000円と、司法書士への報酬(3〜5万円程度)がかかり、許可申請の前に痛い出費と2週間程度のタイムロスが発生します。
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推奨画像: 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の「目的」欄を拡大し、「古物営業法に基づく古物商」の文字に赤丸がついている図。NG例として「雑貨の販売」のみの図。
生成用プロンプト: Close-up of a Japanese corporate registration document (Tokibo). The "Purpose" (目的) section lists "Secondhand Dealer based on Secondhand Articles Dealer Act". A red circle highlights it.
Alt属性: 古物商許可 事業目的 定款
【地域差あり】「許可が取れてから定款変更」でOKな警察署の真実
さて、ここからがネット検索では出てこない、現場の「生」の情報です。
「まだ許可が下りるかわからないのに、先に3万円払って登記を変えなきゃいけないの?」
そう疑問に思うのは当然です。
実は、管轄する都道府県の警察本部や、担当者の裁量によって、このルールの運用には驚くほどの「地域差(ローカルルール)」が存在します。
- 原則(東京など多くの地域):申請時点で、登記簿の目的に「古物」が入っていないと一切受理しない。
(※先に登記変更を済ませてから来てください、と突き返されます)
- 例外(大阪府警などの一部地域):申請時点では目的に入っていなくても、「許可取得後、速やかに目的変更の登記を行います」という内容の【確認書(誓約書)】を差し入れることで、柔軟に受理してくれるケースがある。
大阪などの商人の街では、「ビジネスのスピードを殺さない」という配慮からか、このような柔軟な対応が取られることがあります。
しかし、これを「全国共通のルール」だと思い込み、東京の警察署で「大阪では大丈夫らしいですよ」などと言えば、「ここは東京です」と一蹴されて終わりです。
重要なのは、自己判断せず、必ず申請予定の管轄警察署に「事前電話」を入れることです。
「これから定款変更をする予定ですが、確認書の提出で申請を受理してもらえませんか?」と聞く勇気が、3万円と2週間を節約する鍵になるかもしれません。
役員の連帯責任!監査役・親会社にも及ぶ欠格事由チェック
個人の場合は「あなた一人」がクリーンならOKでしたが、法人の場合はそうはいきません。
法人申請における最大の地雷、それは「役員の連帯責任」です。
古物営業法では、申請会社(法人)の役員のうち、「たった一人」でも欠格事由(前科・破産など)に該当する者がいれば、会社全体の許可を不許可にすると定めています。
ここで言う「役員」の範囲を見誤ると、取り返しのつかないことになります。
- 監査役も含まれる:業務執行権のない「名ばかり監査役」や、節税対策で名前を入れただけの「親族の役員」も、全員もれなく審査対象です。彼らの過去、本当に把握していますか?
- 親会社・支配者の影:登記上の役員でなくても、「相談役」や「顧問」、あるいは「筆頭株主」として会社を実質的に支配している人物がいる場合、警察はその人物も審査対象とみなすことがあります。
「自分は真面目にやってきたから大丈夫」と思っていても、共同創業者の友人に実は「執行猶予中」の過去があったり、名前を借りただけの叔父さんが「自己破産手続き中」だったりすれば、その時点でゲームオーバーです。
法人申請を行う前には、必ず全役員から「過去5年間の賞罰および破産歴に関する誓約書」を取り付け、身体検査を済ませておくことが、経営者の義務(デューデリジェンス)です。
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
地域ごとのローカルルールは、定款だけではありません。例えば「営業所の賃貸契約書」についても、東京では「使用承諾書」がほぼ必須ですが、地方によっては「契約書のコピーだけでOK(承諾書不要)」という署もあります。行政書士がなぜ報酬を頂いているかといえば、書類作成代行だけでなく、こうした「管轄ごとのクセ(審査の温度感)」を熟知し、最短ルートを案内できるからなのです。
📌 この章のポイント
- 法人は定款・登記簿の「目的」に「古物商」の記載が必須(原則)。
- 大阪など一部地域では「確認書」で後日変更を認める柔軟な運用もあるため、要事前確認。
- 役員・監査役全員が審査対象。一人の過去が会社全体の許可を左右する。
個人から法人へ切り替える時の「空白期間」と在庫問題
「法人登記が完了しました!では今日から法人として営業します!」
この勢いで、個人の古物商許可証を警察に返納してしまったら、その瞬間からあなたのビジネスは「営業停止」に追い込まれます。
なぜなら、前述の通り法人の古物商許可が下りるまでには、申請から約40日(標準処理期間)の審査期間が必要だからです。
この「空白の40日間」をどう乗り切るか? そして、個人時代に仕入れた山のような在庫を、どうやって法人のものにするのか?
ここには、行政書士と税理士の領域にまたがる、高度な実務テクニックが求められます。
個人許可の返納と法人許可の取得は同時にできるか?
結論から申し上げますと、「オーバーラップ(重複期間)作戦」が正解です。
法律上、同一人物が「個人」と「法人の代表」として、一時的に両方の許可を持つこと自体は禁止されていません(※営業所が同一の場合、管理者兼任の問題などはありますが、移行期間としては認められます)。
賢い法人成りのスケジュールは以下の通りです。
- 会社設立(登記完了):まずは法人を作ります。この時点ではまだ法人は古物営業ができません。個人の古物商許可で営業を継続します。
- 法人の許可申請:警察署に法人の許可申請を出します。この時、担当官に「許可が下り次第、個人の許可は返納します」と伝えておくとスムーズです。
審査中の40日間は、まだ「個人事業主」として仕入れ・販売を続けます。売上も個人の口座に入れます。
- 法人の許可取得(=切り替え日):警察から「許可が下りました」と連絡があった日がXデーです。
新しい法人の許可証を受け取ると同時に、その場で個人の許可証を返納(廃業届提出)します。
- ビジネス主体の切り替え:この日を境に、Amazonや銀行口座、契約名義をすべて法人に切り替え、正式に法人としての営業をスタートさせます。
この手順を踏めば、営業停止期間(売上がゼロになる期間)を理論上は「ゼロ」にすることができます。
ただし、この切り替えタイミングで「個人の財布」と「法人の財布」を厳密に分けなければ、後の税務調査で「仮装隠蔽」を疑われる原因になりますので、経理処理は慎重に行う必要があります。
在庫はどうする?個人から法人への「売買契約」が必要
次に問題になるのが、倉庫に眠っている「在庫(商品)」の扱いです。
「社長である私の持ち物なんだから、勝手に会社の棚に移して売ればいいだろう」
これは、古物営業法違反(取引記録義務違反)かつ脱税行為になりかねない危険な思考です。
法人と個人は「別人」です。
したがって、個人の在庫を法人に移すためには、「個人(あなた)」から「法人(御社)」へ、在庫を【売却】または【現物出資】するという法的な手続きが必要になります。
実務上、最も一般的でクリアな方法は以下の手順です。
- ① 在庫の棚卸し:個人事業の最終日に、引き継ぐ在庫リストを作成します。
- ② 売買契約書の作成:「売主:個人〇〇」と「買主:株式会社〇〇(代表取締役〇〇)」の間で、『商品売買契約書』を交わします。
代表者が同じで奇妙に見えますが、印鑑は「個人の実印」と「会社の実印」を押し分けます。
- ③ 古物台帳(帳簿)の記載:ここが警察の実地調査で見られるポイントです。
【個人の台帳】:在庫すべてを「法人へ売却」として処理し、台帳を締めます。
【法人の台帳】:開業初日に、個人から「買取(仕入れ)」として全在庫を記載し、台帳をスタートさせます。
このように、モノの移動だけでなく「権利の移動」を書面に残すことで、警察に対しても「盗品ルートの遮断(トレーサビリティ)」が確保されていることを証明できます。
また、税務上も適正な価格(通常は仕入原価相当額)で譲渡した証拠となり、不当な利益移転の疑いを晴らすことができます。
📷 画像挿入指示
推奨画像: 「個人」から「法人」へ、ダンボール(在庫)とお金が移動し、その間に「売買契約書」が存在している図解。
生成用プロンプト: Illustration of an asset transfer. On the left "Individual Owner", on the right "Corporate Entity". A stack of boxes (inventory) moves right, money moves left. A legal contract document is floating in the center.
Alt属性: 古物商 法人成り 在庫引き継ぎ
💡 行政書士の現場メモ(失敗回避の知恵)
「面倒だから、個人の在庫が売り切れるまで個人で売りつつ、新規仕入れだけ法人でやろう」という「二刀流」を考える方がいます。しかし、これは管理が極めて複雑になるためお勧めしません。Amazonのアカウントは一つしか使えないことが多く、売上の帰属(どっちの売上か?)が不明確になり、税務署も警察も嫌がります。法人化するなら、スパッと在庫を移管し、一本化するのが経営のリスク管理です。
📌 この章のポイント
- 「個人許可」は法人の許可が下りるその日まで返納してはならない。
- 在庫移動には「自分 vs 自分」の売買契約書が必須。
- 古物台帳も「個人の売り」と「法人の買い」をリレー形式で記録する。
承知いたしました。 それでは、記事の総括となる**「H2:まとめ:あなたの「将来設計」に合わせた賢い選び方」と、最終的な「メインCTA」**を執筆し、全工程を完了させます。
読者が今の時点で「どちらを選ぶべきか」迷いなく決断できるよう、明確な指針を示して締めくくります。
まとめ:あなたの「将来設計」に合わせた賢い選び方
ここまで、古物商許可における個人と法人の違い、そして法人成りの際に発生するコストとリスクについて解説してきました。
最後に、行政書士として多くの起業家を見てきた経験から、あなたが今どちらを選ぶべきかの「最終結論」を提示します。
🏁 【最終チェック】あなたはどっち派?
👤 個人で取るべき人
- 副業として月5〜10万円稼げれば十分。
- 法人化する予定は当面(3年以上)ない。
- 初期費用をとにかく安く抑えたい。
- 家族や従業員を雇う予定はない。
🏢 法人で取るべき人
- 1〜2年以内に年商1,000万円を目指している。
- 古物市場への参加や、銀行融資を考えている。
- 親族や友人と共同経営する予定だ。
- 「許可を取り直す手間」が最大の無駄だと感じる。
小さく稼ぐなら「個人」、事業拡大なら迷わず「会社設立」
古物ビジネスは、参入障壁が低いため「とりあえず個人」で始める方が大半です。
しかし、本気で事業を拡大しようとする経営センスのある方ほど、目先の数万円(設立費用)を惜しむことで、将来の数十万円(取り直し費用+機会損失)を失うリスクを嫌います。
「会社を作って許可を取る」ことは、単なる法的手続きではありません。
それは、取引先や顧客に対して「私はこのビジネスに本気で取り組んでいる」という覚悟を示す最強のカードになります。
もしあなたが、将来的に「法人成り」の可能性が少しでもあるなら、今一度計算機を叩いてみてください。
回り道をして二重のコストを払うか、最初から整備された道路(法人)を走るか。
答えは、あなたの「事業ビジョン」の中にあるはずです。
【毎月3社限定】会社設立+古物商許可の同時サポート
「法人で始めたいが、手続きが複雑そうで不安…」
「定款の目的はどう書けばいい?」「役員の構成はこれで大丈夫?」
そんな未来の社長様へ。
当事務所では、会社設立の登記手続きから、警察署への古物商許可申請までをワンストップで代行いたします。
バラバラに依頼するよりコストも手間も大幅に削減でき、「定款の不備で許可が下りない」といったミスも100%防ぎます。
※個人からの法人成り(切り替え)のご相談も承ります。
※「記事を見た」とお伝えいただければ優先対応いたします。

